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女の子の心をくすぐるギフトバッグができるまで

消費者との出会いを広げる、新しい資生堂ギフトバッグ 消費者との出会いを広げる、新しい資生堂ギフトバッグ

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もっとカジュアルに贈り物を。市場の声に応えるギフトバッグの制作

--資生堂商品を購入する方向けの新しいギフトバッグが、11月上旬から全国のドラッグストアなどで通年展開することになりました。こちらのギフトバッグの制作に至った背景について、教えてください。

竹田:ギフト市場の大きな変化として、お歳暮・お中元といった従来の機会に代わって、友人や親しい人への誕生日やお礼など、カジュアルに贈りものをするケースが増えてきました。これを受けて、手軽なギフトを購入する10代から20代の女性の購買意欲をかき立てるようなラッピングツールがほしいとの声が、店頭から出てきたんです。

--これまで、そういったカジュアルなギフト需要に対応するツールはなかったのでしょうか?

竹田:現行のツールとしては、資生堂のロゴが入った赤い袋などがありました。ただこれらについては、現場から、「ロゴが目立ちすぎている」「クラシカルなデザインが若い女性のニーズに合わない」といった声が多数上がっていたんです。

そこで、「現場の声に早急に応えよう」ということになり、緊急で制作に至りました。通常の仕事だと数か月かけるところ、今回は依頼されてから1週間でデザインデータを入稿するという、かなりタイトなスケジュールでした。

--今回のプロジェクトを主導したのは、どのような部署ですか?

竹田:マーケティング部のなかでも、とくに店頭の声を吸い上げている、マーケティングサポートチームです。彼らから、「可愛らしさのなかにも洗練された印象を与えるもの」「資生堂らしさよりもギフトらしさを重視したデザインにしてほしい」と依頼されました。また、「色はパステルカラーで、リボンをモチーフにしたデザイン」という具体的なところまで、依頼部署からの希望があったうえで、制作にとりかかっていきました。

全国キャラバンで行った、配色についてのアンケート結果。モニターを見ると見事なまでに半々全国キャラバンで行った、配色についてのアンケート結果。モニターを見ると見事なまでに半々

ポイントは、格子模様にも見えるリボンデザイン。ギフトのキラキラ感を重視し、金箔も贅沢に使った ポイントは、格子模様にも見えるリボンデザイン。ギフトのキラキラ感を重視し、金箔も贅沢に使った

紙袋とセットで、オーガンジーの内袋も提供する 紙袋とセットで、オーガンジーの内袋も提供する

「リボン」と「パステルカラー」。カワイイの王道コンビをどう調理する?

--タイトなスケジュールのなかで、どのように制作を進められたのでしょうか。

竹田:構想を練って調査をして、得た気づきをデザインに反映する、という通常のステップを踏む時間はなかったので、「どうオーダーを叶えるか」を基軸に、手を動かすことと考えることを同時に進めました。依頼部署の希望であった「パステルカラー」については、Instagramで簡単なリサーチを行いました。すると、いわゆる「ミレニアルピンク」と呼ばれる淡いピンクなどを中心に、パステルトーンが若い女性に人気だという感触は実際にありましたね。

そこで、パステルカラーを用いた他社のパッケージをいくつか集め、依頼部署に見せながらイメージを聞いたところ、ピンクは甘すぎるけれど、パステルグリーンやマカロンカラーなど、少し大人っぽい色がよりイメージに近いということでした。そこで、ミントグリーンとライラックの組み合わせ(A)を提案したところ、「まさにそれだ!」と気に入ってもらえたのです。

--ミントグリーンとライラックの組み合わせ(A)のほかに、ピンクとブルーの組み合わせ(B)も展開されていますね。

竹田:当初は、1パターンの展開を予定していました。しかし、Aの配色は「感度が高い人には好まれそうだけれど、ちょっと玄人向けなのでは」「ドラッグストアでギフトを買うような若い女性には、普遍的に好まれるピンクのほうが良いのではないか」とも感じ、2案出すことにしました。すると依頼部署がどちらのパターンも等しく気に入ってくれて、ひとつに絞れなかったんです。

資生堂では今年、役員やマーケティング担当の社員が全国を巡業し、現場で商品を販売している方々に直接意見を聞いて回るキャラバンを行いました。そのキャラバンとちょうどタイミングが合ったので、どちらの配色が良いか、会場で意見をお聞きすることになりました。結果、驚くほど半々に意見が分かれたんです。それを受けて、とりあえず2つのパターンで進めることになりました。

--デザインの細部で苦心した点はありますか?

竹田:依頼部署からのオーダーは「リボン」でしたが、リボンのかわいらしさはいわゆる王道、わかりやすいかわいさです。それを稚拙な感じには見せたくなかったので、試行錯誤の結果、「一見格子模様のようにも見えるリボン」という完成品のデザインに落ち着きました。

また、中央にメッセージカードのようなイメージで「To My Dearest(大切なあなたに)」という文字を入れ、袋に入れるだけでリボンに包まれているようなギフトらしさが出るデザインを意識しました。

--完成形に至るまでに、どのような試行錯誤があったのでしょうか。

竹田:当初は「To My Dearest」というタイポグラフィーを全面に散りばめたデザインも考えていたんです。でも、それではターゲットとなる若い女性たちに「かわいい」と伝わるスピードが遅いのではと思い直しました。

私は通常の業務で、今回のギフトバッグのターゲットとも近い20代が主な顧客層の「インテグレート」のデザインをしており、PR用のInstagramも担当しています。そこでの反応を見ていると、モードの要素が入ったようなおしゃれすぎる写真は、途端に「いいね」が減ってしまうんです。おしゃれであることは大事だけれど、度を超すと「自分のものではない」と一線を引かれてしまう。そんな彼女たちに伝わりやすい「かわいさ」を出せるように工夫しました。

--「SHISEIDO」のロゴは、かなり小さく入っていますね。

竹田:それも依頼部署からのオーダーでした。「資生堂」の名前は、若い女の子にとっては「敷居が高い」「歳上の人のブランド」と感じられてしまうことも多いんです。そこで今回はロゴを小さくすることで、気軽さを押し出しました。

SNSで映えるギフトバッグは今後の展開にも期待

--今年6月からの試験的な提供を経て、お客さまや小売店の現場の方々からの反応はいかがでしたか?

竹田:11月からの通年展開に活かすために、店頭でアンケートを取りました。お客さまに人気のカラーについては、ここでも見事に半々という結果になりました。この結果を受け、11月からも2パターンのカラーバリエーションを提供することになりました。

また、メーキャップ商品以外にも、サイズの大きな化粧水などをギフトとして選ぶ人が意外と多いこともわかり、6月から提供したものより一回り大きいサイズのギフト用巾着を追加で制作したり、バッグのサイズも大きくしたりしました。

このほか、ショッピングモール「キャナルシティ博多」内にあるマツモトキヨシさんではデザインが好評だったことから、ショーウィンドウ全面にギフトバッグを飾りつけ、お客さまを呼び込む施策のひとつとして大きく展開していただきました。

--お客さまの年齢やキャラクターなどによって、AとBのカラーの好みの違いは見られましたか?

竹田:じつは制作当初から、それぞれにユーザーイメージがありまして。Aは20代後半以降の大人な女性や、こだわりのある方。Bは若くて、ちょっとミーハーな、かわいらしい女の子という想定でした。完成後、社内の女性にどちらが好きか聞いてみた範囲では、読みは当たっていましたね。

予想外だったのは、10代から20代へ向けてつくったにもかかわらず、50代以降の、少し上の世代の方からの反応も良かったこと。たしかにこのあたりの世代の方々はもともと、30代から40代の女性と比べると、王道のかわいさを好む傾向があります。試行錯誤しましたが、普遍的に女性が好むデザインに着地できたのだと実感しました。

--広告ビジュアルやカタログなど、平面のものを制作する際とは違った発見や面白さがありましたら教えてください。

竹田:広告はそれ自体をお客さまのもとへ届けることができませんが、今回制作したギフトバッグは手元に残り、いわばその方の生活に入り込むもの。つくっているときの感覚は同じですが、完成品の行き先を想像するときのわくわく感は大きいですね。素敵な部屋に飾ってくれているといいな、などといろいろ考えてしまいます。

また、広告の仕事は、ブランドの認知度に貢献するものですが、具体的な効果や成果はどうしても見えにくいところがあります。それに比べて今回の仕事は、デザインによっては直接売上にも関わる可能性があるもの。そう思うと、いつもとは違った緊張感がありました。

--ギフトバッグは社内でも好評とのことですが、今後さらに展開する予定はありますか?

竹田:いま資生堂では、しわ改善の商品を訴求する「表情プロジェクト」というキャンペーンを行っています。そのイベント用に、今回のギフトバッグのデザインのまま、色のみをキャンペーンのイメージカラーに変えて制作する予定です。今後もさまざまなギフト機会に合わせてリボンのあしらいを変えるなど、アレンジを色々と考えているところです。

また、Instagramでハッシュタグをつけてギフトバッグの写真を投稿してもらうキャンペーンをするなど、SNSを絡めた施策もやってみたいですね。「インスタ映え」するパステルカラーの魅力を活かしていきたいです。

キャナルシティ博多内マツモトキヨシにて行われた、ギフトバッグをフィーチャーしたウィンドウキャナルシティ博多内マツモトキヨシにて行われた、ギフトバッグをフィーチャーしたウィンドウ

Profile
竹田 美織(たけだ みおり) Art Directer
資生堂宣伝・デザイン部アートディレクター。神奈川県出身。2010年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。デザイン事務所を経て、2011年資生堂入社。
Credit
AD/D
竹田美織

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