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Package Design 日本の精神を世界へ。資生堂の新たな定番フレグランスに込められた思い

「Ever Bloom」 「Ever Bloom」

Comment

一輪の花が至福の香りに昇華する。目指すはSHISEIDOのグローバルスタンダード

--「Ever Bloom」はグローバルブランド「SHISEIDO」として発売されるフレグランスですね。

駒井:資生堂のフレグランスといえば、「ZEN」という商品が主なラインでした。「ZEN」というのは、日本語の「禅」に通じる美を体現したフレグランス。一方、「Ever Bloom」はヨーロッパを中心にグローバル展開することもあり、王道を追求したフレグランスです。資生堂のフレグランスとして、スタンダードになるものを目指しました。

--王道とは、新たな気概を感じますね。クリエイティブコンセプトは?

駒井:「Sublimation(昇華、純化、精製)」という言葉があるのですが、一輪の花が至福の香りに昇華する、といったイメージをコンセプトにしました。「一輪の花」というのが日本的な精神かもしれませんね。大輪の花が咲き誇るのではなく、たった一輪の花が空間全体を支配してしまうようなイメージです。このコンセプトから、角度によってボトルの形や色の雰囲気が大胆に変わるデザインを考えてみました。

ボトル正面から ボトル正面から

イメージのもとになった福原路草の写真 イメージのもとになった福原路草の写真

角度を変えると、また印象が変わる 角度を変えると、また印象が変わる

デザイン過程の別案 デザイン過程の別案

膨大なリサーチから生まれた、ヨーロッパで勝負するボトルデザイン

--日本に比べ、ヨーロッパは日常的にフレグランスをつける文化を持っていますよね。

駒井:ヨーロッパにおけるフレグランス文化は日本とは比べ物にならないほど深く、豊かなものです。ヨーロッパの化粧品会社には、フレグランスの取り扱いがないところはほとんどないそうです。というよりも、フレグランスがあって初めてブランドが認知されるといってもいいくらい。そうした市場で勝負するにあたって、まずは数ある有名ブランドのボトルデザインをきちんとリサーチすることから始めました。

--リサーチを経て、どんなデザインへと発展していったのでしょうか?

駒井:ほとんどのブランドが、オリジナルの容器のかたちを発売当初から何十年も受け継いでいることがわかりました。ベースの型はそのままに、少しずつモダンなデザインにアップデートしていく。これが世界のトレンドだと感じました。そこで、伝統の型を基軸にしながらモダンさを合わせ持つボトルデザインを探っていきました。

--「Ever Bloom」のボトルは、フレグランスの王道らしさも持ちながら、どこか個性的に感じます。フォルムにこだわりはありますか?

駒井:ボトルを正面から見たときは、普遍的な香水瓶のシルエットをしていますが、すべて曲線と曲面で構成されているので、角度を変えると一気に有機的な印象になります。かなり難しい形状でしたが、フランスのガラスメーカーと協力して実現することができました。日本の仕事の進め方との違いなど、大変なところもありましたが、どんなデザインでも実現しようとする、フランスの職人の意地を感じることができ、非常に感銘を受けました。

海外チームとの激論の末に生まれた「定番フレグランス」

--フランス生産とのことでしたが、現地の声はどのように取り入れていったのでしょうか?

駒井:現地でのパッケージ調査や、現地スタッフへのヒアリングなど、ヨーロッパでこの商品がどう受け止められるかはかなり意識してつくっていきました。資生堂のヨーロッパ本部からも、念願だったフレグランスを発売するとなると意気込みがすごくって、たくさんの意見交換が行われましたね。

--多くの人たちの思いが込められているんですね。

駒井:そうですね。先ほどもお話した通り、フレグランスはヨーロッパが本場。深く根付いた文化があるからこそ、彼らがイメージする「フレグランス」とどう向き合うかが大きな壁でした。数多あるブランドに負けず、しっかりと目立たせると同時に、高級感も合わせ持つこと。何案も何案もデザイン案を提示しながら、ベストを探っていきました。それもすべて、定番フレグランスをつくるための試行錯誤。みんなの思いが結集してできた商品だと思います。

掲載日 2015年9月

キャップ天面には花椿マークの彫刻が キャップ天面には花椿マークの彫刻が

駒井 麻郎
Profile

駒井 麻郎(こまい まお) Art Director
資生堂宣伝・デザイン部アートディレクター。 多摩美術大学デザイン科卒業。2001年資生堂入社。ウーノ、アネッサなどのプロダクトデザインを手がける。現在は、グローバルブランド SHISEIDO、クレ・ド・ポー ボーテのプロダクトデザインを担当。

Credit
CD
信藤 洋二
AD/D
駒井 麻郎
P
大畑 直也

クレジット表記について
  • CD: クリエイティブディレクター
  • AD: アートディレクター
  • D: デザイナー
  • Copy D: コピーディレクター
  • C: コピーライター
  • P: プロデューサー
  • PH: フォトグラファー
  • PL: プランナー
  • ST: ストラテジスト

クレジットは資生堂 宣伝・デザイン部のスタッフのみの掲載としております。

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