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Space Design デザインでの「おもてなし」、汐留ビル ウインドーディスプレー。40cmの立方体から無限に広がる空間演出

資生堂・汐留ビル エントランスロビーのウインドーディスプレー 資生堂・汐留ビル エントランスロビーのウインドーディスプレー
資生堂・汐留ビル エントランスロビーのウインドーディスプレー 資生堂・汐留ビル エントランスロビーのウインドーディスプレー
資生堂・汐留ビル エントランスロビーのウインドーディスプレー 資生堂・汐留ビル エントランスロビーのウインドーディスプレー
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3種類の口紅を女性に見立て、それぞれのドールハウスをデザイン

--資生堂・汐留ビル2階には、エントランススペースと打ち合わせスペースをゆるやかに区切る機能として、お客さまが回遊して見られるウインドーディスプレーがあります。どんなコンセプトで展開されているのでしょうか?

近藤:1人のデザイナーが40cm四方のボックス3つを手がけ、年4回に分けてそれぞれのアイデアにあふれた小さな空間を演出しています。今日は私を含めて、2015年から2016年にかけてディスプレーを手がけた3人が集まっています。

--それではさっそく、2015年12月から2016年3月のディスプレーを担当した近藤さんにお聞きします。このときのテーマは何だったのでしょうか?

近藤:私は「マキアージュ」のパッケージのアートディレクションを手がけていたこともあり、10周年の「レディ・レッド」キャンペーンと絡めて、3つの赤い口紅の特徴を擬人化し、それぞれのキャラクターに合わせたドールハウスを作ったんです。ボックスの中央に口紅を置いて、それを使っている女性をイメージできるような部屋を演出しました。

--ウインドーをドールハウスに見立てたアイデアが、見る人を引き込みますね。3つの部屋のコンセプトや、インテリアなどはどのように決めていったのでしょうか。

近藤:マキアージュのデザインコードを引き継いで、黒・赤・金のカラーリングをすべてに共通させています。1つ目は「官能的なエレガンス」がテーマ。もっとも大人っぽいイメージで、ロングドレスや王道感のあるハイヒールをあしらいました。2つ目は「かろやかでフェミニン」。ふんわりした質感のドレスや、女性らしいパンプスを。最後のボックスは「エッジの効いた甘さ」というテーマから、レースをあしらったドレスやサンダルなど、都会的なイメージのある小物でまとめました。

--特にこだわったポイントはどこですか?

近藤:ほとんどの小物を手作りしたことですね。昔から裁縫が得意だったので、人形のドレスはすべて手縫いしました。また、ウインドーデザインのパートナーである現代工房様に、平面で起こしたグラフィックから真鍮の家具や小物を作って頂きました。こういう小さなドールハウスって、子どもの頃のお人形遊びを思い出すようで、いくつになってもときめくもの。童心に返ることのできる楽しいお仕事でした。

家具やシューズなど、細かいところにも個性を出した3つのディスプレー 家具やシューズなど、細かいところにも個性を出した3つのディスプレー

生地選びやシルエットにまでこだわった衣装。着る女性の姿をイメージして作られている 生地選びやシルエットにまでこだわった衣装。着る女性の姿をイメージして作られている

サンケアで日焼け対策ばっちりの三人がリゾートに飛び出す サンケアで日焼け対策ばっちりの三人がリゾートに飛び出す

ジャック(写真)はアクティブに登山へ。クイーンは優雅に海水浴、キングはゴルフへと、三者三様のバケーションを演出 ジャック(写真)はアクティブに登山へ。クイーンは優雅に海水浴、キングはゴルフへと、三者三様のバケーションを演出

クイーンは、何パターンもある肌の色、ポージングから選ばれている クイーンは、何パターンもある肌の色、ポージングから選ばれている

トランプから飛び出すキングたち。サンケアをしてリゾートへ!

--2015年8月から10月を手がけた徳久さんは、サンケアをイメージしたディスプレーを展開されていました。

徳久:まずは、夏なので「アネッサ」「シーブリーズ」などの日焼け止め商品を使った展示にしようと決めました。作品はトランプに出てくるジャック、クイーン、キング、三人の日焼けしたくない貴族が、トランプの中に閉じこもっていたけど、日焼け止めを手にして、勢いよくリゾートに飛び出していくストーリーをイメージしています。ボックスの下方に散らばったトランプは、影を印刷した台紙を敷いて、真夏の直射日光を表現したり、ビビットな色のオリジナルのカードデザインで、リゾート感を演出しました。普段の仕事では、女性の「美」を表現することが多いので、このときは遊び心を大切にしたチャーミングなものにしたいと思ったんです。そこで、飛び出す立体アートで有名なアーティスト・松枝悠希さんにコラボレーションを依頼しました。

--ディスプレーのケースから本当にフィギュアが飛び出してきたようですね。この演出はどのように生まれたのでしょうか?

徳久:これは松枝さんの代表的な作風で、加工した樹脂にフィギュアを押し込むように入れて、まるで平面から飛び出しているかのような視覚効果を演出しています。3cmくらいの小さなフィギュアの造形は、松枝さんにイメージを伝えて何パターンも作っていただきました。「トランプの柄という静的な場所から、動的な夏の世界に飛び出してきたキャラクターたち」というイメージで、なるべくアクティブな動きを与えたかったんです。一方、制作中は樹脂の熱と力が加わるので、緻密な造形のフィギュアは壊れそうになることもしばしば。アーティストの技術力と造形のおかげで、楽しいディスプレーになったと思っています。

フレグランスのディスプレーは香りをまとった「空気」を表現

--最後に、2016年4月から6月を担当した黒谷さん。手がけられたモチーフとコンセプトを教えてください。

黒谷:私はグローバルSHISEIDOの3つのフレグランスをモチーフに、40cm四方の立方体における「空間ディスプレー」をどう演出するか、スタディを重ねていきました。そこから生まれたコンセプトは、「香りをまとう」。香水瓶からシューッと香りが広がる、目に見えない空間を可視化させたいと思ったんです。それは、日本の「間」や「奥」といった感性の表現にもつながるのではないかと。はじめは香り自体をかたちなどでもう少しわかりやすく、視覚化しようとも思ったのですが、最終的には空間を引き算していく考え方でミニマルな表現に辿り着きました。

--小さなパーツの集合体は、幻想的な雰囲気が漂っていますね。それぞれのこだわりポイントを教えてください。

黒谷:「ZEN」という香水には日本的な市松紋様、「SHISEIDO MEN」には、シャープなシルバーのアルミと丸みを融合させて、「Ever Bloom」は香水瓶のカーブをエッセンスとして3Dの紋様にしています。すべて約20mmの小さなパーツを、格子状のレイヤーで構成しています。

--つい、近づいて中を覗いてみたくなりますね。フレグランスを好きな角度で楽しめる演出です。

黒谷:どれも見る角度によって、かたちや色、香水瓶の表情や雰囲気が変わって感じられるデザインになっています。360度どこからでも見ることのできる、このウインドーディスプレーならではの楽しみ方ですね。そのおかげで、香りの中に香水瓶が浮かんでいるような面白い演出ができたのではないかと思います。これが私のウインドーディスプレーのデビュー作になりました。

上から「ZEN」、「Ever Bloom」、「SHISEIDO MEN」のディスプレー

「Ever Bloom」は25色のピンクで彩られたパーツを使ってグラデーションを作っている

香水瓶のふたを開け、香りをまとった空間を表現している

掲載日 2016年6月

Profile

徳久 綾美(とくひさ あやみ):左 Designer
1982年生まれ、福岡県出身。2009年東京藝術大学デザイン科卒業。同年資生堂に入社。主な仕事に「マキアージュ」「マジョリカ マジョルカ」「ベネフィーク」など。

近藤 香織(こんどう かおり):中央 Designer
2005年、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。同年資生堂入社。「マジョリカ マジョルカ」を長年担当し、現在では「d プログラム」「ベネフィーク」「マキアージュ」「資生堂パーラー」を担当。

黒谷 優美(くろたに ゆみ):右 Designer
1992年生まれ、神奈川県出身。2015年多摩美術大学環境デザイン学科卒業。同年資生堂に入社。主な仕事に「グローバルSHISEIDO」など。

Credit

マキアージュ

AD / D
近藤香織
CD
檜原由比子

サンケア

AD / D
徳久綾美
CD
檜原由比子

フレグランス

AD / D
黒谷優美
CD
檜原由比子

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