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Graphic Design 「手渡し」で伝える感謝の心。限定カレンダー「いろどるガール」に込めた想いとは?

2017年度 ノベルティグッズの壁掛けカレンダー「いろどるガール」 2017年度 ノベルティグッズの壁掛けカレンダー「いろどるガール」

Comment

四季の移り変わりを「いろどるガール」で表現

--資生堂ではノベルティグッズの一つとして、毎年、自社デザイナーが創意工夫を凝らしたカレンダーを制作しています。どのような目的があるのでしょうか?

丸橋:資生堂からのご挨拶や感謝の気持ちを込め、全国のチェーンストアなどでお得意様やお客様に配布するために制作しています。2017年度のカレンダーは私がアートディレクターを担当し、髙礒がイラストを担当させていただいたのですが、テーマは「いろどるガール」にしました。

毎年、2種類のタイプを発行しているのですが、今年も一つは水原希子さん、二階堂ふみさん、長谷川潤さんといったモデルや女優さんの写真が使われるカレンダー。もう一方は、いまお話した「いろどるガール」をデザインしたもので、書き込み重視で日玉(日づけの部分)が大きく、グラフィカルな要素が強いものになっています。それぞれ、壁掛けと卓上のタイプを用意しています。

--「いろどるガール」とは何でしょうか? 着想のきっかけを教えてください。

丸橋:「華やかさ」「季節感」は、資生堂のカレンダーが毎年大切にしている要素です。それで、桜が咲いたり雪が降ったり、四季とともに「彩りが変わる」というイメージを発展させて「いろどるガール」としました。少しダジャレの要素もあるのですが(笑)。

--カレンダーのイラストは、資生堂アートディレクターである髙礒さんが担当されたそうですが、どういった経緯で手がけることになったのでしょうか?

丸橋:モノクロの女の子が季節ごとに彩られていくというイメージが浮かんだのです。髙礒は学生時代からモノクロを基調とした女の子の絵を描いていたので、ぴったりではないかと思い、声をかけました。

髙礒:いつもはアートディレクションの仕事をしているので、あまり仕事でイラストを描いたことはありませんでした。そんななかで丸橋さんから突然連絡がきたので驚きました。私が作品として描いていた絵を覚えていてくれたんだな、と。

壁掛けカレンダー「いろどるガール」(1月) 壁掛けカレンダー「いろどるガール」(1月)

卓上カレンダー「いろどるガール」(3月) 卓上カレンダー「いろどるガール」(3月)

7月のデザイン案7月のデザイン案

2月のデザイン案 2月のデザイン案

卓上カレンダー「いろどるガール」の表紙デザイン 卓上カレンダー「いろどるガール」の表紙デザイン

よく見ると、細い鉛筆の線が縁取られている よく見ると、細い鉛筆の線が縁取られている

鉛筆タッチで描かれた12人の女性に、桜などの情景を組み合わる

--「いろどるガール」は鉛筆タッチで、温かみのあるイラストですね。当時からこのような絵を描いていたのですか?

髙礒:学生の頃も基本的には鉛筆とコラージュで作品をつくっていました。でも、あまり色を使わないモノクロのイラストがメインだったので、今回のカレンダーでは季節の雰囲気や、各月のわくわく感を色で表現するのにいろいろな試行錯誤を重ねました。

--ご自身にとってはチャレンジングな試みだったんですね。

髙礒:そうですね。全力でポップにしたつもりが「もうちょっとだけ、華やかにできるかな?」みたいなご意見もいただいて、「がんばります!」みたいな(笑)。そんなやりとりのなかで何度も色を選び直しました。

--各月の色を選ぶうえで参考にしたもの、インスピレーションの源になったものはありますか?

髙礒:桜、新緑、海、雨、イチョウなど、自然の要素がインスピレーションになりました。四季それぞれが持つ空気の色は、自然が表している気がしています。

--ダンスを踊っているような女性、おしゃれに着飾った女性など、月ごとにさまざまな女性が登場していますが、モデルはいるのでしょうか?

髙礒:私は、これまでずっと写真をベースに絵を描いてきました。今回は外国で撮った写真を参考にするほか、友達や後輩に「こんなふうにポーズをとって」とお願いして撮影した素材で、季節に合う衣装やシチュエーションを組み合わせていきました。人物を描いたあとに、彼女たちを取り囲む情景のイメージが浮かんできたんです。

--カレンダー表紙は、独自の味がある「資生堂書体」で書かれた「いろどるガール」のロゴが印象的です。

丸橋:じつはロゴの書体は手書きなんです。鉛筆で書いた縁取りのなかに色を置いて、モノクロの世界を彩っていくというニュアンスが出るようにしました。ロゴからイラストまで、全部がカラフルに彩られているというよりも、差し色的に用いているという点がポイントだと思います。

デジタルな時代にこそ、「手渡し」で感謝を伝える文化を大切にしたい

--今回は髙礒さんが学生時代から培ってきたクリエイティブな面を、通常の業務以外で発揮する機会となりましたね。

丸橋:資生堂のカレンダー制作は自由度が高く、デザイナーが新たな構想や可能性にチャレンジできる場です。商品制作と離れた部分でクリエイションを発揮できるので、とくに若手のデザイナーにとっては意欲的に取り組める媒体の一つかもしれません。

髙礒:じつは数年前にも一度、カレンダーを担当したことがあるのですが、とても楽しく取り組んだ記憶があります。いただいた企画に合わせて自分のアイデアを自由に進められるというのは、クリエイターにとって、とてもいい経験となりました。

--毎年どのようにカレンダーの担当者が選ばれるのでしょうか?

丸橋:コンペ、もしくは指名で選ばれます。2017年度のカレンダーはコンペで、宣伝部内で何名かが指名されてそれぞれプレゼンテーションをしました。

--数十年にわたって続いてきた資生堂のカレンダーについて、どういった思いがありますか?

丸橋:まず、デザイナーが自由に取り組めるグラフィックの媒体を一企業が長いあいだ持ち続けているのがおもしろいと思います。いまは手帳やスマートフォンもあるし、世間的には壁掛けや卓上カレンダーが使われない傾向にある。でも、資生堂デザイナーにとっては自由にグラフィックを表現できる場、そして受け取る方々にはインテリアの一部として、カレンダーの文化は続いていってほしいですね。

髙礒:カレンダーを通して、感謝の気持ちやご挨拶をお客様に直接手渡しできる。いまはデジタルの時代ですが、その「手渡し」の感覚をこれからも大切にしていきたいです。

Profile
丸橋 桂(まるはし かつら) Art Director
東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。1998年、資生堂入社。東京ADC賞、JAGDA新人賞、日経広告賞優秀賞、空間デザイン賞2016金賞などを受賞。最近の主な仕事は、資生堂ギャラリー グラフィック、SHISEIDO THE GINZA CI計画など。
Profile
髙礒 恵子(たかいそ けいこ) Art Director
東京藝術大学大学院美術研究科 デザイン専攻修了後、2004年に資生堂入社。アートディレクターとして広告デザインのディレクションを行う傍ら、イラストレーターとしても活躍。現在、エリクシールの広告デザインを担当。
Credit
AD
丸橋 桂
ILLUSTRATION
髙礒 恵子

クレジット表記について
  • CD: クリエイティブディレクター
  • AD: アートディレクター
  • D: デザイナー
  • C: コピーライター
  • P: プロデューサー
  • PH: フォトグラファー
  • PL: プランナー

クレジットは資生堂 宣伝・デザイン部のスタッフのみの掲載としております。

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