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Space Design 企業文化誌『花椿』と一緒に楽しむ展示
『pink pop ! あたらしい花椿』の世界

資生堂の企業文化誌『花椿』と連動したディスプレイ展示 資生堂の企業文化誌『花椿』と連動したディスプレイ展示

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ギャラリーで楽しむ、企業文化誌『花椿』と連動したピンクの世界

--資生堂銀座ビルにあるGINZA COMMUNICATION SPACEでは、企業文化誌『花椿』の季刊「夏号」の刊行を記念し、『pink pop ! あたらしい花椿』が開催中です(2017年4月3日~6月30日)。これは、誌面と連動した企画だそうですね。

岸野:はい。そもそもは、『花椿』夏号の特集「pink pop !」の成り立ちにさかのぼります。花椿編集部では、いま若者を中心にピンクに注目が集まっているので、特集を通じてこの時代を読み解いてみようということになったそうです。そこで『花椿』と連動した企画はどうかという話が社内で立ち上がり、誌面と同じ「ピンク」をモチーフにした展示を行うことになったんです。

--花椿編集部の方々と、宣伝・デザイン部とのやりとりのなかで展示ができあがっていったのですね。

岸野:そうですね。『花椿』アートディレクターの澁谷克彦さんと「いまは、ひと昔前よりピンク色が多様に、そして優しい色合いになってきているんじゃないか」という話もしていて。展示の入り口に、特大の『花椿』誌のレプリカがあるのですが、その表紙で撮影されたピンクヘアも強すぎず、優しい色合いなんです。

--1階のウインドウディスプレイでは、色とりどりの食器やフラワーベースなどの小物を背景に、ピンクヘアのマネキンが窓の外を眺めています。

岸野:ウインドウディスプレイは、表紙の女の子の日常を意識してデザインしました。ほかのエリアの展示は『花椿』の特集とリンクしているのですが、ここだけは企画展示オリジナルのコーナーなんです。小物は全部違うピンク色になっていますので、チェックしてみてくださいね。

『花椿』表紙の女の子の日常が意識された空間 『花椿』表紙の女の子の日常が意識された空間

さまざまなピンク色の小物が散りばめられたウインドウディスプレイ さまざまなピンク色の小物が散りばめられたウインドウディスプレイ

「Think Pink, Feel Pink」のメッセージと共にある30枚のカードは持ち帰り可能「Think Pink, Feel Pink」のメッセージと共にある30枚のカードは持ち帰り可能

カードの裏面には、色名のストーリーが記載されている カードの裏面には、色名のストーリーが記載されている

インスピレーション源となった『カラー&イメージ―色の小事典』 インスピレーション源となった『カラー&イメージ―色の小事典』

色の小辞典からインスパイアされた、30種類のカードたち

--ウインドウディスプレイの花瓶や器など、「Think Pink, Feel Pink」というメッセージと共にピンクの小物にはそれぞれ番号が書かれていて、中に入ると30種類ものピンクのカードが置いてあります。展示空間にある色をカードで持ち帰ることができるというのも、特徴的ですね。

岸野:ぜひみなさんには、お気に入りの色のカードを見つけて持ち帰ってほしいです。カードには「え?これがピンク?」という色や、「mama(ママァ)」といった、色を表すとは思えないようなユニークな名前もあるので、きっと発見があると思います。

--それぞれのカードをめくると、エピソードや名前の由来が書かれていて、タロット占いを思わせる楽しさもあります。これは、なにをインスピレーション源に制作したのでしょうか?

岸野:私が10年以上前に出会った久野尚美さんの著書『カラー&イメージ―色の小事典』(現在は絶版)を、ご本人の了承を得て参考にしました。この本は、あらゆる色を一つひとつ解説しているのですが、色を番号や学術的な切り口で表す「お勉強本」とは違います。色を説明する文章の一つひとつが情緒的で、読むだけで夢心地になれる大好きな一冊なんです。

--その本におさめられている色のなかで、岸野さん一番のお気に入りのピンクはありますか?

岸野:「私の女友達」を意味する「mon amie(モナミ)」という名前のついたピンクです。解説を読むと、「仲のよい女友達への友愛の情を表現した美しい華やかなピンクである。大切な女友達には、いつまでも素敵な女性でいて欲しいという思いと、幸せを願う思いが込められているようだ。」とあります。

--素敵ですね。

岸野:思わず想像力をかきたてられる、詩的な文章だと思います。

『花椿』の読者は、より楽しめる展示空間

--展示スペースの2階へとつづくエスカレーターの前には、奥山由之さんが撮影した巻頭特集の大きな写真、そして階上では、撮影の様子を収めたメイキングムービーが上映されています。

岸野:こちらの特集は、女性が本来持っているナチュラルな部分を、ありのままに撮影されているように感じました。そのためか、写真が大型のサイズになっても自然で優しい雰囲気が感じられるんです。奥山さんの写真のほか、エスカレーターを上がっていく途中にもピンク色があしらわれているので、来場者にはその優しいビジュアルと空間に癒されてほしいと思います。

--2階ではそのほかに、各界の著名人が「ピンク」にまつわるお気に入りのエピソードを披露する「My Favorite Pink」の写真や、資生堂銀座ビルを舞台に撮影された「TOKYO STORY」など、『花椿』本誌に関連する写真が展示されています。

岸野:2階の展示作品はすべて、『花椿』本誌とあわせてお楽しみいただけるようになっています。たとえば、花椿本誌の特集「My Favorite Pink」では、著名人が選んだピンクにまつわるグッズを紹介する企画なのですが、会場ではそのグッズの写真のみを再構成して、説明テキストなしで展示しています。本誌を読むことで、詳しい内容がわかるようになっているんです。

--誰がどんなピンクのグッズを選んだかは、本誌を見てからのお楽しみということですね。もう一つの展示「TOKYO STORY」はいかがでしょうか?

岸野:同じく特集と連動とした「TOKYO STORY」では、本誌で使用していないアザーカットを主に展示しています。この企画を澁谷克彦さんに相談したら、「展示したいカットがたくさんあるよ」と賛成してくれて。加えて「TOKYO STORY」はこのビルを舞台に撮影されたので、あたかもモデルがそこにいるような雰囲気でマネキンを展示しています。

『花椿』誌面と連動した2階の展示空間 『花椿』誌面と連動した2階の展示空間

「TOKYO STORY」 「TOKYO STORY」

「My Favorite Pink」 「My Favorite Pink」

企業文化誌『花椿』の季刊第1号「夏号」企業文化誌『花椿』の季刊第1号「夏号」

約1か月半の制作を通じて感じた、人を惹きつけるピンクの力

--『pink pop ! あたらしい花椿』展を観に来た方々には、展示を通じてどのような気持ちになってほしいですか?

岸野:「やっぱりピンクっていいね」と思ってほしいです。そして、色やものにはいろんな意味があって、それを知るととても豊かな気持ちになれることを感じてほしいです。じつは、今回の展示は構想から完成までが1か月半ほどという、きわめて短い時間のなかで行ったのですが、ピンクの魅力がスタッフみんなを引っ張って、団結させてくれたような気がします。

--岸野さんご自身が、展示を通してピンクの魅力を再認識したんですね。

岸野:そうですね。今回ピンクと向き合ってみて、ピンクはすごく人を元気にすることを実感しました。加えて、私にとってずっと憧れの雑誌だった『花椿』に関われたことも、がんばる機動力になりました。

--今後も『花椿』と連動した展示を行っていく予定はありますか?

岸野:まだ未定ですが、ぜひ行いたいですね。私がつくった展示を通して、紙やWebのメディアだけでは伝えられない触感や香り、身体的なものにアプローチしていけたら楽しいと思います。価値観が多様化している世のなかだからこそ、私は「場の力」を大事にしたいと考えています。これからは、その場に来た人だけが共有できることや価値に強い意味が出てくる時代になるのではないでしょうか。

Profile
岸野桃子(Momoko Kishino) Art Directer
2002年金沢美術工芸大学環境デザイン科卒業。 同年資生堂入社。 主な仕事にクレ・ド・ポー ボーテ、資生堂ザ・ギンザなど。
Credit
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丸橋桂(グラフィック)
AD
岸野桃子(スペース)
C
横山裕子

クレジット表記について
  • CD: クリエイティブディレクター
  • AD: アートディレクター
  • D: デザイナー
  • C: コピーライター
  • P: プロデューサー
  • PH: フォトグラファー
  • PL: プランナー

クレジットは資生堂 宣伝・デザイン部のスタッフのみの掲載としております。

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