サクヒン

Brand Design 「Share Beauty」家族へ、恋人へ、あなた自身へ。
銀座から想い広がる、ペーパーカットアニメーション

ブランド「SHISEIDO」ホリデープロモーションムービー ブランド「SHISEIDO」ホリデープロモーションムービー

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伝統の唐草模様と花椿を基点に、銀座から「美しさ」が広がり、伝わることで、つないでいく

--ブランド「SHISEIDO」が年末年始に実施する、ワールドワイドなホリデープロモーション。限定のギフトボックスやショッピングバッグなどを毎年作っていますが、今年は「Share Beauty」がテーマだとか。

髙田:ホリデーシーズンは「ギフトシーズン」でもあり、もっともコスメカウンターが盛り上がる時期です。日本のクリスマスは恋人や友人と過ごすイメージが強いですが、海外ではファミリーで過ごすのがポピュラーで、過ごし方のバリエーションも各国さまざまです。いずれにしても、大切な人と心を通わせ、想いを伝えあうハートフルな時期。「SHISEIDO」は、美を通して人と人が心を通わせる、つまり「美しさを共感し合う」気持ちをサポートしたいと考え、「Share Beauty」というテーマが生まれました。

--キービジュアルには、唐草模様や花椿といった資生堂の伝統的なモチーフが使われています。

髙田:「Share Beauty」というテーマを伝える方法を模索したときに、「Growing Karakusa」というデザインコンセプトに辿り着きました。資生堂のミームである唐草が伸びていくさまで、人と人がつながり、想いが広がっていく様子を表現できるのではないかと思ったんです。また、今年は「SHISEIDO」のブランドイノベーションを行い、ターゲットやブランドイメージを刷新した時期でしたので、花椿マークをあらためてお客さまに認知してもらうことも重要でした。最初の段階から、花椿シルエットのなかに唐草が伸びているロゴにしようとまとまりましたね。

--ブランドはどのように刷新されたのでしょうか。

髙田:「美しさが世界をよりよくする力であること」という信念のもと、「共感」をキーワードにお客さまとのコミュニケーションの刷新が始まりました。そんななか、重要なターゲットであるミレニアル世代がどう行動し、人とつながり、購買を決めているのかを捉え直したとき、これまでの「モノ」のクリエーションだけではなく、「コト」のクリエーション、特にデジタルコミュニケーションの必然性を強く感じたんです。

2016年ホリデープロモーションのキービジュアル 2016年ホリデープロモーションのキービジュアル

デジタルコンテンツ「Greeting Box」 デジタルコンテンツ「Greeting Box」

相手に伝えたいメッセージを選べる 相手に伝えたいメッセージを選べる

山口氏によるイラスト画 山口氏によるイラスト画

一つひとつ切り絵を完成させていく 一つひとつ切り絵を完成させていく

「いつもありがとう」「だいすき」などのメッセージとムービーを、BOXに込めて贈るデジタルコンテンツ

--そのような経緯から、例年よりも長い1分11秒のアニメーションのほか、オンライン上でオリジナルのムービーメッセージが作れる初のデジタルコンテンツも用意したそうですね。

髙田:ホリデープロモーションは毎年、メイングラフィックを作り、それをギフトボックスとショッピングバッグ、店頭ポスターに展開します。今年の計画も同様だったのですが、店頭制作物のみでは一方的なコミュニケーションで終わってしまう。そこで、「ホリデーシーズンにお客さまがしたいと思える『コト』のサポート」をする意識を持って、ムービーとデジタルコンテンツの制作を提案しました。計画外のことを実行するのはハードルが高く、走り回っているうちに1人、また1人と協力してくれて、スマートフォン限定のスペシャルコンテンツ「Greeting Box」(2017年2月まで配信)を実現することができました。

--クリスマスや新年に感謝の気持ちを伝えるカードをグリーティングカードといいますが、今回の「Greeting Box」というデジタルコンテンツは、どのようなものでしょうか?

髙田:「Greeting Box」は相手に気持ちを伝えるコミュニケーションツールで、複数のシーンを組み合わせることで、オリジナルのムービーメッセージを作ることができます。贈りたい人の名前を入力したら、メッセージと絵柄を選び、複数のストーリーパーツからお好みをチョイスすれば完成する仕組みになっています。日本人が普段なかなか伝えにくい「いつもありがとう」「だいすき」といった素直な言葉は、こういったツールがあることで相手に送りやすくなる。ぼくも今朝、母に送ったのですが、すぐに「素敵なメッセージをありがとう」と返事がきました。このコンテンツがあったからこそ生まれたやりとりでした。

--「切り絵」モチーフのシーンが印象的でしたが、どのようして生まれたのですか?

髙田:ギフトボックスに込められるものは、物理的にいえば化粧品ですが、概念的には相手を想う気持ちにほかならない。つまりギフトボックス自体が「Share Beauty」を象徴する大きな基点となる存在だと捉えました。ギフトボックスのなかに幾十にも重なる想いやストーリーがあり、それが世界中で起こっていることを感じてもらいたかったんです。ムービーやデジタルコンテンツなどを共に制作してくれたBBメディアさんと話し合うなかで、紙芝居のような作りに仕上がる「切り絵」に可能性を感じました。それに、紙という素材が持つぬくもりも、大切な気持ちを表現するのにぴったりだと思いました。

--大正時代を思わせるイラストは、どなたによるものですか。

髙田:元資生堂宣伝部の山口崇さんです。かつて資生堂のイラストレーションが体現してきた、スマートで凛とした女性像を描きたかった。これを表現できる人を考えたとき、資生堂のイラスト広告を数多く手がけた山口さんが浮かびました。伝統と歴史を積み重ねてきた銀座生まれのSHISEIDO。その独自性を世界中のお客さまに感じてもらいたいと思ったのが、大正時代の背景を描いてもらった理由です。キーとなる唐草模様は、登場人物や背景のいたるところに入れていただくよう山口さんにお願いをしました。原画からアニメーションを作画したあと、レーザーカッターで切り出した紙をコマ撮りしたのですが、とても温かみのあるものに仕上がったと思います。

現代のニーズに合わせた「お客さまのため」のプロモーションにすることが目的

--レトロさを感じる大正風デザインやイラストは、ミレニアル世代やデジタルコンテンツという最先端な要素とは真逆な印象もありますが。

髙田:ミレニアル世代の人たちがものを選ぶ基準は、いいか悪いか、好きか嫌いか、かわいいかかわいくないか、というシンプルでフラットな感覚であり、古いからダサいというような先入観は持っていないのでは? と何人かのターゲット女性へのインタビューで感じていました。古くてもかわいいものは素直に好きと言う。だから、脈々と受け継がれている資生堂のクラシカルな表現を、彼らにも受け入れてもらえる形で提案したかった。現代的なプロモーションで刷新を狙う一方で、資生堂の文化を匂わせる発信もしていくべきだと思うのです。

--髙田さんがホリデープロモーションを手がけられるのは、今年が3年目とか。過去2年と比べていかがですか。

髙田:デジタルコンテンツを組み込み、店頭だけでない、現代のニーズに合わせた「お客さまのための」プロモーションができたことは、一つの到達点であると同時に、ものづくりの姿勢として基本的なことなのだと改めて感じました。「美しいだけのデザイン」にするというより、できるだけお客さまのためになることを形にしたい、と常々考えていました。人と人をつなぐ「Share Beauty」というテーマが、そのチャンスをくれた気がしています。

--「お客さまのためになること」とはどんなことでしょうか。

髙田:「コミュニケーションのサポート」ではないかと思いました。お客さまはホリデーシーズンに化粧品をモノとして買うだけではなく、美しくありたい、大切な人と会いたい、一緒に過ごしたいと思っています。その特別な時間のために口紅をひくとき、口紅はコミュニケーションのサポーター的存在になると言えるかもしれません。今回のオリジナルムービーや「Greeting Box」も、多くの人が心を通わせる機会にしてもらえたらと願っています。

店頭で手に入るメッセージカードも制作(全5種) 店頭で手に入るメッセージカードも制作(全5種)

銀座の路面店ザ・ギンザでは、12月28日まで現物を展示していた
銀座の路面店ザ・ギンザでは、12月28日まで現物を展示していた 銀座の路面店ザ・ギンザでは、12月28日まで現物を展示していた

Profile

髙田 大資(たかだ だいすけ) Art Director
1985年生まれ、三重県出身。2009年 多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。主な仕事は、ブランド「SHISEIDO」「SHISEIDO MEN」、資生堂パーラーのパッケージデザイン、ウィンドウディスプレイなど。2016年DSA日本空間デザイン賞金賞受賞。

Credit
AD/D
髙田 大資
D
小林 麻紀
PH
伊東 祥太郎

クレジット表記について
  • CD: クリエイティブディレクター
  • AD: アートディレクター
  • D: デザイナー
  • C: コピーライター
  • P: プロデューサー
  • PH: フォトグラファー
  • PL: プランナー

クレジットは資生堂 宣伝・デザイン部のスタッフのみの掲載としております。

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