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Other kawaiiの世界へようこそ。マジョリカ マジョルカのクリエーターが手がけた『ユリカナ展Ⅱ』の舞台裏

百合 佐和子 × 金澤 正人『ユリカナ展Ⅱ』byマジョリカ マジョルカ 百合 佐和子 × 金澤 正人『ユリカナ展Ⅱ』byマジョリカ マジョルカ

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マジョリカ マジョルカのチームが、女の子の「kawaii」を表現

----「百合 佐和子 × 金澤 正人『ユリカナ展Ⅱ』」は、「マジョリカ マジョルカ」のアートワークを手がける、ヘア&メーキャップアーティスト百合さんとフォトグラファー金澤さんのコラボワークによる創作写真展シリーズですね。

中村:はい。『ユリカナ展』というタイトルも二人の名前からとったものなんです。ブランドの広告宣伝制作以外で「マジョリカ マジョルカ」のコンセプトとも繋がる「kawaii」をどう表現できるか? にトライした作品発表の場が『ユリカナ展』です。私はプロデューサーとして今回から参加しましたが、2013年の初回は会期2週間で約6000人もの方に来場いただき好評を博しました。そこから3年間で金澤と百合が新たに25点を作り溜め、今年2回目を開催することになりました。

----『ユリカナ展Ⅱ』ではどんなコンセプトを掲げられたのですか?

金澤:前回は「マジョリカ マジョルカ」ブランド10周年のスピンアウトとして「進化した未来の『kawaii』」を表現しましたが、今回は「女の子の二面性」などをコンセプトにして、もっと身近な「kawaii」を、枠に囚われず表現していきました。

----独創的な作品にはどのようにアプローチをしていったのでしょうか。

金澤:まずは百合と二人で話し合っていくつかのストーリーを作り、そこからビジュアルを広げていきました。今回はモデルの琉花さん、小松菜奈さん、玉城ティナさん、ゆらさんを撮影させていただいていますが、モデルさんごとにテーマを変えているんです。それぞれの世界観を描き出すメーキャップと写真表現を追求しました。

----モデルさんの個性も活かされた素敵な世界観ですね。それぞれどんなテーマにトライしましたか?

金澤:例えば「女心は1秒で変わる」というテーマのシリーズは、女優である小松菜奈さんに相反する感情を演じてもらい、二人の小松さんを1枚の写真に合成しました。ゆらさんの撮影では、百合が、光と色の三原色をメーキャップで表現し、そこに私が光を重ねて撮影することで、光と色が持つ本質や未来を表現するなど、奥深い作品もあります。

「1秒の企み」作品/重なり合う二人の小松菜奈さんの表情にも注目 「1秒の企み」作品/重なり合う二人の小松菜奈さんの表情にも注目

「Light Up or Make Up?」作品/ゆらさんを起用し、光と色の三原色をテーマにしたカラフルなメーキャップに 「Light Up or Make Up?」作品/ゆらさんを起用し、光と色の三原色をテーマにしたカラフルなメーキャップに

「言葉は嘘つきだから」作品/イラストレーター宇野亞喜良さんとのコラボは幻想的な雰囲気 「言葉は嘘つきだから」作品/イラストレーター宇野亞喜良さんとのコラボは幻想的な雰囲気

「受け止めたいけど」作品/モデルは玉城ティナさん。乙女心を表したタイトルが印象的 「受け止めたいけど」作品/モデルは玉城ティナさん。乙女心を表したタイトルが印象的

アーティストとのコラボレーションで作品が生まれ変わる

----有名イラストレーター、宇野亞喜良さんとのコラボレーションも作品に強烈な個性を添えていますね。そちらはどのように制作されましたか?

金澤:宇野さんには完成した写真プリントをお渡しして、その上に直接絵を描いていただいているんですよ。宇野さんに私たちが考えた作品テーマや意図を伝えるため、コピーライターの宮澤にテーマの意図がわかるテキストを考えてもらいました。

宮澤:百合が描いたテーマごとの簡単なラフを見ながら、まずはその1枚ずつに仮のタイトルと、短いストーリーをつけていきました。ふだん私は広告コピーを書いていますが、今回はお二人の意図を理解し、イメージを膨らませていくのがとても難しかったです。実際に出来上がった作品を見ると、ラフにはなかったものが加わったり、大きく変化していて、とてもおもしろい経験ができました。

金澤:それがコラボレーションのおもしろいところですね。宇野さんも、宮澤の魅力的な言葉があったからこそ描けるとおっしゃっていました。会場には、宮澤の考えたタイトルも一緒に展示しています。

宮澤:完成作から受けた感動を言葉に乗せてさらにブラッシュアップしなくてはいけないので、責任重大でしたね。それぞれの作品に込められたストーリーを、お客さまに想像しながら楽しんでもらいたいという気持ちでタイトルを考えました。

『ユリカナ展Ⅱ』をSNSなどでシェアできる演出へ

----クリエーター同士のコラボ作品が、どのような空間で展示されるかも気になります。デザイナーの小林さんが会場作りでこだわられたことは?

小林:『ユリカナ展Ⅱ』で表現されるのは見た目だけの「kawaii」ではなく、一歩奥に踏み込んだ「kawaii」なので、その世界に入り込んでいただけるようにこだわりました。会場となる渋谷ヒカリエの「8/CUBE1,2,3」は、会場がガラス張りになっているので、『ユリカナ展Ⅱ』の世界観を出すためにガラス面を取り囲むように黒幕を掛け、入口には「マジョリカ マジョルカ」の商品デザインに通じるゴシック風に飾ったゲートを作り、ファンタジー空間に誘う演出を心掛けました。

----ゲートを見ると、「この中で何かやっているらしいよ?」とワクワクする気持ちになりますね。

小林:また、中の展示もそれぞれのテーマが映えるように並べ、自然と作品の世界観へ入り込めるゾーニングにしました。さらに『ユリカナ展Ⅱ』を体感できるスペースもご用意。撮影に使われた、百合お手製の薔薇のヘッドアクセサリーやベネチアンマスクなどはお客さまに身につけていただけますし、作品を拡大させて顔出しパネルも作りました。

金澤:展覧会というと無機質になりがちなので、違う体験を味わっていただく工夫ですね。アクセサリーやパネルのスペースは撮影可なので、なりきり写真を撮ってSNSでシェアできるようにしたんです。ほかにも、会場ではヘア&メーキャップや写真に興味のある方にも楽しんでいただけるように、作品のメイキングムービーを流していました。

----そんなコンセプチュアルな『ユリカナ展Ⅱ』の世界を象徴するのが、メインビジュアルを配したポスターやフライヤーですね。

戸瀬:メインビジュアルの写真は、「罪と官能」をテーマに宇野さんとコラボレーションした1枚。『ユリカナ展Ⅱ』全体を象徴するイメージとインパクトを考えながら百合と金澤が話し合って決めました。アートディレクターの私が担当したポスターのデザインは、1回目の『ユリカナ展』を引き継いでいるので、全体のテイストやフォントデザイン、装飾モチーフも「マジョリカ マジョルカ」らしさを継承しています。タイトルロゴも「マジョリカ マジョルカ」と重なるゴシック調を意識して、『ユリカナ展』らしい「kawaii」を表現しています。

中村:ロマンチックなロゴも、『ユリカナ展』のメッセージ性を象徴するものになっています。さらに『ユリカナ展Ⅱ』の場合、ポスターには会場ロゴなども入りますし、テキストで告知しなければならない情報量がとても多い。それを1枚のポスターにまとめ上げるのは、戸瀬が苦労したところじゃないですかね。

戸瀬:はい。なので、せっかくの作品を邪魔しないよう、なるべくシンプルに、小さな文字も潰さず読みやすく配置するよう心掛けました。

小林:私は、この作品がメインビジュアルになったことにちょっと驚きがありました。前回よりずっと大人っぽくなっていたので、メインビジュアルに影響されて、会場のデザインを考え直したところもあります。

宮澤:私も最初、「kawaii」がテーマなのに、これがメインビジュアルなんだとドキッとしました。でも『ユリカナ展Ⅱ』が表現する「kawaii」は、かわいさとは対極にあるセクシーさも含めた「kawaii」なので、このポスターはとても合っていると思います。

金澤:みなさんの想像の範疇にある型にはまった「kawaii」をお見せしても、クリエーターとしてはつまらない。今回の作品を見て、「え? これも『kawaii』なの?」と疑問や驚きを抱いていただけたら、私たちもうれしいですね。

作品が主役になるように、シンプルの中に奥深いかわいらしさを表現した展覧会場

マジョリカ マジョルカのイメージから、ゴシックさも取り入れた写真展のDM

掲載日 2016年5月

Profile

宮澤 ゆきの(みやざわ ゆきの):左上 Copywriter
2010年、立教大学社会学部を卒業後、同年、資生堂入社。主な仕事に「マジョルカ マジョルカ」、「エリクシール」、「dプログラム」など。

金澤 正人(かなざわ まさと):中上 Photographer
1988年、資生堂に入社。以後、女優やタレントといった人物から商品写真まで、同社の広告写真を多く手がける。日本広告写真家協会会員。2011年には個展「darkness and brightness」を開催。

戸瀬 麻梨乃(とせ まりの):右上 Art Director(Graphic)
金沢美術工芸大学 視角デザイン科卒業後、資生堂入社。主な仕事に「マジョリカ マジョルカ」、「リバイタル グラナス」、「資生堂 美容室」など。

小林 恵理子(こばやし えりこ):右下 Art Director(Space)
2010年武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業。同年、資生堂入社。主な仕事に、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「ベネフィーク」、「マジョリカ マジョルカ」など。

中村 夏子(なかむら なつこ):左下 Producer
東京外国語大学卒業後、資生堂入社。営業、商品開発、Webなどの部門を経て、宣伝・デザイン部へ。現在は主に「エリクシール」を担当。

Credit
PH / CD
金澤 正人
AD
戸瀬 麻梨乃 小林 恵理子
C
宮澤 ゆきの
P
中村 夏子

クレジット表記について
  • CD: クリエイティブディレクター
  • AD: アートディレクター
  • D: デザイナー
  • C: コピーライター
  • P: プロデューサー
  • PH: フォトグラファー
  • PL: プランナー

クレジットは資生堂 宣伝・デザイン部のスタッフのみの掲載としております。

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