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資生堂トークセッション「My Happiness」vol.2
HASUNA 代表取締役 白木夏子 × 気仙沼ニッティング 代表取締役社長 御手洗瑞子
「媚びないところ」が共通点
白木 瑞子さんと出会ったきっかけは、2012年の世界経済フォーラム(ダボス会議)でしたね。
御手洗 ええ、「33歳以下の若手リーダー」としていっしょに選ばれて。
白木 でも、実は私、その前から、瑞子さんがブータンで首相フェローをしていたときに書いたブログを読んで、すごくおもしろい人だなって思ってたんです。
御手洗 え!? そうだったんですか。
白木 瑞子さんって、すごくインテリジェントなんだけれども、好奇心が旺盛で発想が豊か。右脳と左脳のバランスが絶妙なんですよね。妖精のようにいつも軽やかにいろんな場所に行って、みんなと仲よくなる。その一方で、筋が一本通っていて、気がつけばその場に欠かせない人になっている。希有な存在だと思います。
御手洗 私から見た夏子さんは、しなやかな芯を持つ人。いつも物腰が柔らかくて、穏やかで、決して人に威圧感を与えたりはしないんだけど、内にはしっかり芯があり、だからこそしなやか。そんなイメージです。
白木 お互い、サバサバしてるでしょう。
御手洗 確かに、考え方とかさっぱりしてるかも。
白木 きっと頭の中は「母性の強い男性」なんだと思う(笑)。「媚びない」というところも2人の共通点かな。
御手洗 そうかもしれない(笑)。私、夏子さんがすごいと思うのは、HASUNAをはじめて、わずか数年でここまでのブランドに成長させていること。「エシカル」であることを前提としながら、そこに甘えず、一ブランドとして育てていますよね。産地で働く人のことを考えつつ、デザインやクオリティーで「わあ、素敵!」と、お客さんを感動させている。2つの課題を同時に解決して、原産地の人も、お客さんもハッピーにしているのがすごい。
関わる人すべてを笑顔にしたい
白木 私、子どものころから、ファッションや芸術関係の仕事と同時に、貧困や戦争といった世界の問題にも関心があったんです。短大のとき、たまたまフォトジャーナリストの桃井和馬さんの講演を聴く機会があって、体に電流が走るような経験をしました。紛争に巻き込まれた子どもたち、切り刻まれた原生林、ペット用に捕獲されたチンパンジー…、さまざまな写真を見て、「世界のために自分も何かしたい」と思ったんです。
御手洗 インドへ行ったときに鉱山で働く人たちを見たのも大きかった、と聞きました。
白木 そう、イギリス留学時代にフィールドワークで行ったんですけど、カースト制度の外に追いやられた最下層の人々の生活を見てショックを受けました。私が行ったある村は、子どもたちすら笑顔を見せず、常に重苦しい空気に覆われていました。悲惨な状況を前に何もできない自分に無力感がこみあげ、心に穴があいたようになりました。
そういった問題を解決するには、「援助」だけでは無理だと感じたんです。私たちがジュエリーを買ったお金が、現地の労働者にきちんと届くようにするには、ビジネスの仕組みを変えなきゃいけないと思った。国際協力をしている人の中には、お金や企業活動を悪いものだと考える人もいますけど、私はビジネスを上手に回していけば、きっと解決できるはずだと考えたんです。
御手洗 私がマッキンゼーで働いたのも、「大企業がこんなことをするのが悪い」などと誰かを批判して思考停止するのではなく、今の世の中がどうやって動いているのか学びたいと思ったからなんです。特に、経営者が何を考えて意思決定しているのかを知りたかった。本当に世の中をいい方向に変えたいと思ったら、まず今の世を動かす政治や経済のダイナミズムを理解する必要がありますよね。それに、自分自身も力をつけなくてはいけない。
私の中では、小学生のころ、国際キャンプに参加したときから、社会貢献への関心はずっと続いてきました。ブータンに行ったのも、気仙沼ニッティングをおこしたのも、役に立ちたいことや解決したい課題に対して、その時々で自分がいちばん力を発揮できる場を選んできた結果なんです。
白木 私も、「ビジネスの世界で働いているのはどんな人たちなんだろう?」と思って、投資ファンドの会社に勤めたんです。でも、実際に入ってみたら、悪い人なんていないんですよ。たとえば、何億円も稼ぐようなファンドマネージャーには、すごく社会貢献の意識が高い人が多い。そこで思ったのは、人が悪いのではなく、仕組みがどこかで歪んでいて、その原因は行き過ぎた資本主義にあるのかもしれないということでした。
だから、HASUNAをはじめるとき、フェアトレードで原材料を仕入れて、エシカルなジュエリーを作ることに決めたんです。原産地の人と顔の見える関係を築いて、人間的に正しいやり方でビジネスをやれば、貧困問題だって起きないはずだと思って。
御手洗 作り手と買い手が離れたのって、実は人間の歴史の中で、わりと最近の話ですよね。たとえば、日本人は一昔前まで、「あそこの豆腐屋は、おっちゃんが4時から起きて丁寧な仕事してるから旨いんだ」みたいな世界で生きていた。人、物、金の流れがコミュニティー内で完結していた時代は、自分の行動が影響を与える範囲と、思いやりをもてる範囲が合致していたのだろうと思います。でも今は、意識的に顔の見える関係を作らないと、買う人は作る人のことを想像できないですね。
白木 そうですよね。顔の見える関係の中で、人間的に正しいやり方でビジネスをすれば、関わるみんなが幸せになる──基本的な考え方が同じだから、私は気仙沼ニッティングにすごく共感しているんです。もともと漁業の町で、女性たちが漁網を手作業で修理していたという伝統に根ざしながら、知恵をしぼって、本当にみんなが着たいと思うデザインのニットを作っている。「被災地で作ったものだから」という部分に甘えていないじゃないですか。
御手洗 「復興支援のために」と言うと、需要の寿命が短くなるんですよね。本当に求められる商品を作る力をつけないと、いつか買ってもらえなくなる。でも、人の生業って、ずっと必要なものじゃないですか。編み手さんもみんな「この仕事がずっと続いてほしい」と言ってくれますし、お客さんにも、「一生ものの服として注文しました。いずれは子どもに渡したいです」と言う人がいます。そういう声を聞くたびに、「いいものを作り、長く続く会社にしないと」と思います。
白木 注文してから何ヶ月も待っているお客さんたちって、そういう気仙沼ニッティングの世界観そのものをまとうことが心地いいと感じているんでしょうね。被災地に貢献したいという思いも含めて。
御手洗 夏子さんにそう言ってもらえるとうれしいな。着る人が幸せな気持ちになれるようなものを、いつも作っていきたいと思っているんです。
長く、深く、愛される会社を
白木 HASUNAは今年で7年目に入り、おかげさまで着実に成長しています。規模が小さいと助けられる人も少ないですけど、大きくなればできることが増えて、関わる人たちの笑顔も増えていく。ビジネスのよさって、そこにあると思うんです。正しいビジネスでお金を儲けることは、みんなをハッピーにしますよね。
これからは、ジュエリーだけでなく、いろいろな形で、人々の生活の中に豊かさと美しさをもたらすブランドに育てていきたいなと思っています。製品を身に付けることで、そのブランドの持っている背景やフィロソフィーを感じることができる。買ったあとに美しい余韻が残っていく。私はそれがブランドの姿だと思うんです。
御手洗 木は根が深ければ深いほど、枝が大きく広がりますよね。そんなふうに私たちも気仙沼という土地に深く根づきたいと思っています。私は「気仙沼の子って、みんな編み物できるよね」と世界中から思われる町にしちゃいたんですよ(笑)。サッカーが強い国って、子どもがみんなサッカーをしてたりするでしょう? 裾野を広げて、傑出したプロの編み手が集まる町になればいいなと。
若い人にも「地元に残って、編み手の仕事をする」という選択肢を作りたい。そのために、子どもの編み物教室を開いたりもしています。100年、200年、この地に根ざし、世界に知られる編み物の“老舗”に育てたいです。