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2017年3月 雑誌広告<br/>ONE ON ONE<br/>ゲスト:奥原希望(バドミントン選手)
いい顔に迫る資生堂クロストーク「ONE on ONE」vol.3
フェンサー 宮脇 花綸 × 女優 二階堂 ふみ
相手との間合い、自分との戦い
宮脇 剣を持ってみますか?
二階堂 わっ、重いんですね。これをあんなに素早くシュシュッと動かすなんて、かなり身体能力が高くないとできなさそう。
宮脇 もちろん運動神経がいいに越したことないですけど、実は私自身、子どものころは足も速くなかったし、そんなに運動ができるほうじゃなかったんですよ。それでも、間合いのとりかたや、タイミングのはずしかたを工夫して、相手の動きを読んで裏をかいたり、直感を働かせたり……スピードだけじゃなくて、いろんな要素が複合的に組み合わさっているから、自分の得意な部分を伸ばして勝っていける。そこがフェンシングのおもしろいところです。やればやるほど新しい発見があって、とにかく奥が深い競技なんです。
二階堂 知的なスポーツなんですね。テレビで見て、かっこいいとは思っていたんですけど、ルールや見方がよくわからないところもあって……
宮脇 たしかに最初はわかりにくいかもしれないですね。3種目あるんですけど、私がやってるフル―レは、四肢と頭を除く胴体を突いたらポイントになるという種目です。もし同時に突いたら、攻撃の権利を持ってるほうの得点になるので、その権利のとり方や戦略も重要なんです。一瞬の間に攻防が行われるので、観ていると速すぎて何が起きたのかわからないことも多いと思いますけど、スローモーションのリプレイ映像をじっくり見てもらうと、剣を叩いたり、しならせて相手の後ろを突いたり、細かいテクニックがわかって、おもしろいと思いますよ。
二階堂 やっぱり選手によって、いろんなスタイルの違いがあるんでしょうね。
宮脇 私の場合は「間合い」を大事にしてます。海外の選手は背も高いしリーチも長いから、相手の間合いでやると絶対に勝てません。だから、相手が来たら、自分も前に出て、距離をつぶすんです。
二階堂 1対1のスポーツって、やっぱり間合いが大事なんですね。競技以外でも、人との距離感を意識したりしますか?
宮脇 私はフェンシングのときと、プライベートのときで、モードがまったく変わるんですよ。試合のときは常に相手の出方を感じとろうとしますけど、普段は人のことはあんまり気にしません。やっぱり個人スポーツ向きなんでしょうね。勝っても負けても自分の責任っていうほうが好きです。
二階堂 スポーツって、勝ち負けがはっきりしているじゃないですか。その重みというのは、やっぱり感じるものですか?
宮脇 普通、プレッシャーって、周りからかけられるものですよね。でも、私の場合、自分の内面から来るもののほうが大きい気がします。子どものころは、単に楽しいからプレーしていて、選手になってからも、最初のうちは目の前の相手とどう戦うかだけに集中していたんです。ところが、最近は「ここで勝てば、ランキングが上がる」といった意識が頭をよぎって、勝ちを急いでいるところがありました。結果を求めるあまり、焦っていたんでしょうね。それが周りからはプレッシャーがかかっているように見えたのかもしれません。
二階堂 相手だけじゃなくて、自分の気持ちとも戦わなきゃいけないんですね。
感情表現と演技力
宮脇 あるとき、コーチから「フェンシングには演技力が必要なんだよ」と言われたことがあるんです。
二階堂 演技力?
宮脇 たとえば、本当はこっちに避けて突きたいけど、逆に行くフリをするとか、演技をして相手を騙すんです。役者さんの演技とは違うかもしれませんけど。
二階堂 私たちの仕事は、決まったやり方やルールがあるわけじゃないので、フワッとしているところがありますね。フェンシングで裏をかくのに成功したときって、どういう感じなんですか? 「来た!」みたいな?
宮脇 やっぱりうまくいけばうれしいし、勝ったときは「やったー!」と大声をあげて喜んだり、負けた悔しさでマスクをすごい勢いでとったり、感情が行動に表れますね。そういう気持ちにさせてくれるものって、私にとってはフェンシングだけなんです。「戦う」って、本能的な部分が大きいので、感情のリミッターが外れる瞬間があるんでしょうね。二階堂さんは、そういう瞬間ってありますか? 感情が大きく動くような。
二階堂 私の場合、日々いろんなことを感じることで、感情の引き出しをどんどん増やしているようなところがありますね。それによって、カメラの前に立ったとき、自然に感情を出したり、気持ちを作ったりできるんです。
宮脇 役者さんって、普段からそうやって演技の準備をしているんですね。
二階堂 人によってやり方はそれぞれですけど、私はいろいろ感じたいタイプですね。前は普段の感情とお芝居は別物だと思っていたんですけど、やっぱりカメラの前に立つと、生き様そのものが表れると思うんです。それをどうほかの俳優さんたちとミックスできるか。生まれ育った場所も、経験してきたことも、何もかも違う人間が集まって、ひとつの芝居をつくるわけで、初対面の人とキスするシーンがあったりもします。日常ではありえないことでも、カメラがまわって、その人の前に立つと、好きだという感情になるんです。まあ、あったりなかったりですけど(笑)。自分でも本当に不思議な仕事だなと思います。
この道で生きていく
二階堂 宮脇さんの日常って、やっぱり練習中心にまわっているんですか?
宮脇 そうですね。午前、午後、それぞれ練習をして、だいたい7時半ぐらいに終わります。そのあとは自由時間。だいたい毎日が規則正しく流れていきますね。
二階堂 遊びに行ったりも?
宮脇 実家にいたころは、友だちと集まっておしゃべりしたり、休日はおいしいものを食べに行ったりもしていたんですけど、大学2年になってから、練習優先の生活を送ろうと決意しました。それからはひとりで過ごす時間が多くなりましたね。
二階堂 そのときはどんなふうに過ごしているんですか?
宮脇 最近は料理をしたり、お菓子を作ったり、ひとり旅をしたり……
二階堂 ひとり旅かぁ、いいですね〜
宮脇 このあいだ静岡へ行って、夢の吊り橋というのを渡ったんですよ。湖面が絵の具みたいにきれいな水色で、それを眺めてボーッとしてました(笑)。以前は、休みの日も予定を詰め込んで忙しくしていたんですけど、最近はのんびりしていますね。
二階堂 同世代の子を見て、「フェンシングを選んでなかったら、どういう人生だったんだろう?」と考えることはないですか?
宮脇 中学から高校1年ぐらいまでは、すごく考えました。中学からフェンシング一本に絞って、毎日練習するようになっていたんですけど、まだ「オリンピック選手になりたい」とまでは思っていませんでした。勉強もそこそこやっていたし、「パン屋さんになりたい」という夢もあって、ちょっと中途半端だったんです。それでも、現実は選手に向かうレールの上を走っている。そのことに葛藤を感じていました。
二階堂 それが吹っ切れたのは?
宮脇 高校1年のときに、メダリストの太田雄貴さんと話をする機会があったんです。そのとき太田さんから、「オリンピックでメダルを獲るためには何をすればいいと思う?」と聞かれたんです。「具体的にはいつのオリンピックを目標にするのか」「そのためにはどの大会で結果を出せばいいのか」「それに向けていまは何をしなきゃいけないのか」。そういうふうに目標から逆算して、具体的なことをものすごい勢いで話してくれたんです。たぶん、それまでの私は「オリンピック選手になりたい」という言葉を表に出すのが怖かったんだと思います。でも、太田さんの話を聞いてから、「私はフェンシングに懸ける」「オリンピックに出たい」と積極的に思えるようになってきたんです。
二階堂 いま現在はオリンピックについて、どんなふうに捉えているんですか。
宮脇 もともとの目標は、「リオに出場して、東京で金メダルを獲る」というものだったんです。ただ、リオには出られなかったので、いまはこれから4年間の過ごしかたを考えています。4年って、長いようであっという間だと思うんです。出場権を獲るレースがはじまる3年後には、宮脇花綸というフェンシング選手ができあがっている状態で迎えたい。私はまだ世界のトップレベルに食い込めていないので、その段階に上がれるように、1年ごとに計画を立てています。まずは、しばらくは試合から離れて、海外でいろんな選手と練習をしたいと思っています。リオ五輪を観に行ったあとは、イタリアへ行くつもりです。いままで自分の知らない場所に行くのが苦手だったんですけど、これからはどんどんチャレンジしていこうと思っています。
二階堂 ワクワクしますね。こんなに知的で、強くて、かわいらしいところもあるスポーツ選手が同世代にいるのは、私としてもうれしいです。これからも応援しますね!
宮脇 ありがとうございます! 私も二階堂さんの映画を見るのを楽しみにしています。