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2017年10月 雑誌広告<br/>ONE ON ONE<br/>ゲスト:濱田真由(テコンドー選手)
2016年2月 雑誌広告<br/>ONE on ONE<br/>「いい顔」に迫る対談企画、スタート!
2016年4月 雑誌広告<br/>ONE on ONE<br/>ゲスト:野村忠宏(柔道家)
いい顔に迫る資生堂クロストーク「ONE ON ONE」vol.9
カヌー選手 羽根田 卓也 × 女優 二階堂 ふみ
メダルを獲るか 腹を切るか
二階堂 リオで誕生した1番の人気者が羽根田さんだったんじゃないかなと思います。バラエティー番組でお話しされているところを見ても、本当に面白い方だなって。
羽根田 お恥ずかしいかぎりです(笑)。せっかく番組に呼んでいただいたんだから、いつもスタッフさんといいものを作り上げていきたいという気持ちで…。
二階堂 へえー。
羽根田 今、笑うところだったんですけど。
二階堂 あはは。気づかなかったです(笑)。でもこういったユーモアのある一面とは裏腹に、カヌーに対してはとてもストイックで。
羽根田 自分では当たり前のことをしているつもりなんですけど、特にスロバキアという環境では競技以外に時間を費やすことがないので、よりストイックに見えるのかもしれません。
二階堂 羽根田さんはスロバキアを活動の拠点にしているんですよね。最初にスロバキアに渡った時は不安じゃありませんでしたか?
羽根田 いえ、スロバキアに行く不安より、日本にいて低いレベルのまま終わってしまう不安のほうが大きかったです。高校3年生の時、ジュニアの世界大会で6位になったんですけど、世界との差をすごく感じて、高校を卒業したらヨーロッパに行かせてくださいと父親にお願いしたんですね。そうしたらわかったと言って送り出してくれて。
二階堂 それだけ強くなりたいという気持ちが大きかったんですね。私は短期ですけどニューヨークに行っていたことがあって。育ってきた場所と違うところへ行かないと、破れない壁があるんだなってその時に実感しました。羽根田さんがもっと強くなりたいと思うようになったきっかけは何だったんですか?
羽根田 もともと僕はカヌーがあまり好きじゃなくて。
二階堂 え、そうだったんですか?
羽根田 9歳の時、父親に無理やりやらされて、寒いし、友だちと遊べないし、あまり好きになれなかったんです。何より激流が怖くて。でも中3で初めて世界大会に参加して、世界のトップレベルが見せるカヌーの楽しさに触れたら、これは自分の夢に値するものだなと。そこから目標をしっかり持つようになって、高校もカヌー部のある男子高に進学したんです。それまでは誰が男子高になんて行くんだろうと思ってたんですけど(笑)。
二階堂 あはは。
羽根田 カヌーのためならと思って進学して、高校3年間は本当に競技に打ち込みました。それなのに6位という結果だったので、これは努力が足りないんじゃなく、環境が悪いんだなと思って。それくらい僕は努力してる自信があったし、すべてをカヌーに費やしてたんです。
二階堂 それでお父さまにヨーロッパ行きを直訴されたんですね。お父さまは元カヌー選手だと聞いていますが、影響はいろいろと大きいですか?
羽根田 背中を追っかけるというようなことはないですけど、父親のもとではじめて、ずっと支えてもらってきたので、その父にどうしても恩返しがしたかったんです。もちろん地元の人たちにも、今の所属先であるミキハウスにも、何か返さないといけないと思ってきて、それが何かといったらやっぱりオリンピックのメダルしかないんですよね。だからメダルを獲るか、腹を切るかという覚悟でやってきて。その目標をリオで達成できたので、僕もホッとしたし、きっと父もホッとしています。
二階堂 そこに人生を賭けてらっしゃったんですね。本当に尊敬します。
羽根田 特にこういったマイナー競技においては、結果が求められますよね。競技をしてるだけでは何も残らないし、何も返すことができないですから。
ピークはまだ先にある
二階堂 プレッシャーはどれくらい感じていましたか?
羽根田 20代前半まではただ夢を追いかけて、それが楽しかったんです。でも周りがちょっとずつ見えるようになってきたら、とんでもないことをしてもらってるんだなって。年を重ねるごとに引退も近づいてくるので、もしこのまま結果を出せずに引退してしまったら、周りの人たちにどう言えばいいのか、自分の将来はどうなってしまうのかという不安が強くなっていきました。今後、何度もオリンピックに出られる年齢ではないので、リオに臨む時はこの辺が潮時だろうなって。
二階堂 カヌーは競技寿命が比較的長いと聞いてるんですけど、その中で羽根田さんの年齢はどのあたりにあるんですか? やっぱり一番いい時期ですか?
羽根田 ピークは20代後半から30代前半にあることが多いですね。まあ、僕は規則正しい生活をしてるつもりですし、肉体年齢もほかの海外の選手と比べて若いほうだと思うので、もうちょっと行ける手応えはあります。
二階堂 じゃあピークはまだまだこの先にあって。
羽根田 僕の一番のハンデは18歳まで日本で練習していたことなんですね。海外の選手は早くから一流の環境でやってきて、僕はそれが18歳になってからだったので、その差はまだもう少し埋められるはずです。東京オリンピックに向けて、まだステップアップできると思ってますね。
二階堂 羽根田さんがほかの選手と比べて、特に長けてると思う点はどこですか?
羽根田 カヌーをはじめる前、小学校1年から3年まで器械体操をやってたんです。ちょうど7歳から10歳までって、子どもがいろいろな動きを覚えるのに一番いい時期らしいんですね。だからその時に身につけたバランス感覚や柔軟性が、海外の選手と比べて強みになってるのかなと思います。
二階堂 正直なところ、リオまでカヌースラロームを観たことがなかったんですけど、魅力はどの辺にありますか?
羽根田 やる側としては、激流を読んで、そこにうまく乗れた時の達成感ですね。観る側としては、タイムレース特有のスリルもあって、迫力のあるダイナミックな競技だと思います。
二階堂 コースごとに特色も全然違うんですよね。
羽根田 違いますね。国際大会は必ず人工コースで行われるんですけど、流れが緩やかなコースもあれば、すごい急流のコースもあるので、そういうところも魅力です。
地道こそ近道
二階堂 あの、日本でカヌーを体験してみたいと思ったら、どういったところへ行けばいいですか?
羽根田 東京なら奥多摩ですね。体験できる場所は全国各地にあります。
二階堂 今度行ってみたいです! 競技をやっている最中は、楽しいっていう感覚が大きいですか? それとも記録とか結果とか、そういうものに追い立てられてる気分ですか?
羽根田 両方ですかね。僕の課題でもあるんですけど、競技に入り込みすぎてしまって、楽しむことができなくなってしまう時があるので、その辺のバランスは大事だと思います。悲壮感ばかりだと、いいトレーニングもできないと思いますし。
二階堂 周りが見えなくなるほど、ストイックに競技に打ち込んでるっていうことですよね。たぶんそこがスポーツ選手と役者の大きな違いなんだろうなって。役者の仕事ってスポーツみたいに白黒はっきりしていないので、感覚的なところが大きいんですよね。だから案外ストイックじゃない人も多くて(笑)。練習漬けのスロバキアでは、どうやって息抜きをしていますか?
羽根田 何だろう? まったく違うことをすると気が紛れますね。日本史がすごく好きなので、日本の歴史小説をたくさん持っていって、スロバキアで読んだりしています。
二階堂 へえー! スロバキアで日本の歴史小説!
羽根田 もともと日本の文化がすごく好きなんです。
二階堂 ちなみにどんな歴史小説を読んでるんですか?
羽根田 1番好きなのは司馬遼太郎さんの『燃えよ剣』ですね。1冊じゃ物足りないので、上下巻くらいがちょうどいいです。
二階堂 歴史小説から競技に取り入れていることは何かありますか?
羽根田 「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を練とす」という宮本武蔵の言葉があって、すごく感銘を受けました。日々の鍛練が大事だという意味ですけど、僕も日々の練習を次に活かして、地道こそ近道と思いながら、一生懸命に毎日を過ごしていきたいと思います。
二階堂 素敵です。競技へのストイックな取り組み方とか、どことなく侍のような雰囲気もあって。
羽根田 そんな……僕はもっとチャラチャラしてますよ(笑)。