※ 本ページの掲載内容は2012年9月時点のものです。

資生堂は、日本でも有数のカラム製造メーカーです。

HPLC(高速液体クロマトグラフィー)と言っても、多くの方にはなじみのない名前だと思います。
簡単に言うと、ある溶液に何が含まれているのか、その成分量などを正確に分析する手法。医薬品の開発から水質検査や食品中の残留農薬分析まで、人々の生活の安全と安心を守るため、企業や研究機関などで広く利用されています。「カラム」はその分析に用いられる装置の心臓部にあたる管状の部品です。
資生堂がHPLCの分野に参入したのは1985年。ファンデーションのパウダー表面をコーティングする独自技術をカラムの充てん剤に応用できないか、というアイデアから始まりました。1987年に事業化され、今では国内でも有数のシェアを持つカラムメーカーに成長しましたが、いまだに展示会のブースなどでは「なぜ資生堂が?」というご質問をいただくこともあります。
カラム管のリサイクルに取り組むようになったきっかけは、お客さまから、「もったいないよね」と言われたことでした。当時、使用済みのカラムはすべて産業廃棄物として捨てられるだけだったのです。
「なんとかしたい」という思いからチャレンジを始めたのは2009年。まず部下と二人で環境問題について勉強し、環境社会検定試験(eco検定)を受験することが第一歩でした。その勉強を踏まえて、カラム管を製造していただいているお取引先さまに想いを伝え、ご協力をいただけることになりました。さらに、安全性やコスト面での問題、法的な規制、回収の仕組みづくりなど、さまざまな障壁をクリアしてようやく実現にこぎつけたのは約2年後の2011年7月のことです。

環境への取り組みは、独占するものではない。

リターナブルカラム。使用後に処理を行うと、シールに「滅菌済」を示す文字が浮き上がり、安全に回収できる状態になったことが分かります。

消耗品であるカラム自体の耐久性を従来の約10倍(当社指定条件下)に高め、廃棄物の削減(リデュース)を実現。それに加え、安全性の保証に必要な仕組みを整備し、お客さまご自身で滅菌処理を行っていただき、安全に回収できるシステムを作りました。世界初のリサイクル可能なカラム=「リターナブルカラム」と、カラムをリサイクルする「カラムリターナーシステム」の完成です。
当初はなかなかご理解をいただけませんでしたが、行っていただく処理手順を動画にしてプレゼンテーションするなど、丁寧にご説明を重ねた結果、多くのお客さまからご利用いただくようになりました。これは、環境保全に対する私たちの考えへの「共感と賛同」をいただけた結果だと思っています。現在は、年間に生産する数万本のカラムすべてを、このリサイクルの仕組みにのせることを目標としています。また韓国や中国を始めとして、海外のお客さまへのアプローチも開始しています。
実は、私たちはこのリサイクルの仕組みについて、ビジネスモデル特許を申請していません。環境配慮のための技術やアイデアは、自分たちで独占するようなものではないと考えているからです。
カラムという部品自体は、小さいものだと長さ数センチメートルほどの金属管です。しかし素材としてステンレスの他、ニッケルやクロムなどのレアメタルも含まれており、そのリサイクルは資源の持続可能な利用という観点からも有意義な取り組みです。
やがてこうした取り組みが、広く業界の常識となり、大きな結果を生む日が来ることを信じています。

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