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「メタモルフォーシス」第11回 アウトサイダーアート展 ジュディス・スコット

資生堂ではこれまで過去10回ザ・ギンザアートスペースでアウトサイダーアート展を開催してきました。新装となった資生堂ギャラリーでも、継続して開催する予定です。今回は、これまでは会場の関係から紹介できなかった「立体作品」を初めて展示いたします。ジュディス・スコットが、1988年から1998年にかけて制作したオブジェ40数点を展示し、人間の表現への欲求と創造性をめぐる疑問を探ります。なお、この展覧会は、秋のローザンヌのアールブリュットコレクション(美術館)展示に先駆け開催いたします。

■ジュディス・スコットの作品

ジュディス・スコットは、身近なモノを例えば、誰かが履いていた靴、捨てられた鞄、編み棒、もう使わなくなった扇風機、買い物カートなどをさまざまな糸、布の端切れで、包んで「繭」(コクーン)化してしまう。何のために、何を表現しているのか。いささか奇妙なアトリエを想像していただきたい。

そこで、ひとりのアーチストが仕事をしている。ふわふわと柔らかくて、色鮮やかな立体オブジェを作っている。見たこともない形と強烈な表現力。彼女が作る、その抽象的な物体は大きくて、ときには彼女のからだより大きいこともある。ひとつ仕上げるのに数ヶ月かかるのだが、彼女は飽きることなく作り続ける。尋常ならざる集中力と忍耐、愛情をこめて。

しかしながら、この女性はアートという言葉さえ知らず、その意味も用途も理解していない。自分がアーチストと呼ばれることも、自分が作っている物体が世間からアートと呼ばれることも知らない。何をしているにせよ、彼女自身には、芸術作品を作っているなんて気持ちはみじんもない。

だとしたら、彼女はいったい何をしているのか?

ジュディス・スコットは耳がきこえず、言葉を話すこともできない。何を作っているのか、その意図を本人に尋ねることはできないが、彼女の作ることへの執着が動機の強さをあかしている。

■キューレーター ジョン・マクレガー

美術史研究家。精神医学/精神分析と芸術にまたがる独自の研究分野を切り拓いた、アウトサイダーアート研究の第一人者。ヘンリー・ダーガーやアドルフ・ヴェルフリの調査研究で知られ、著書に「The Discovery of Art of The Insane」「ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で」があり、1999年にはジュディス・スコットの研究を「メタモルフォーシス」にまとめた。

■アウトサイダー・アート(アール・ブリュット)

「アウトサイダー・アート」は、1972年、ロジャー・カーディナル(ケント大学教授・シュルレアリスム研究家)が仏語「アール・ブリュット」の英語訳として創案した言葉です。もとの「アール・ブリュット」とは、加工されていない、生の芸術という意味。伝統や流行に影響されず、自身の内側から湧きあがる衝動のままに表現した芸術のことです。1945年、精神病患者の創作作品を調査していた、フランスの画家ジャン・デュビュッフェが、これらの創作を命名して考案した言葉。その後、精神病者に限らず、専門の美術教育を受けていない人たちが、美術制度の枠の外でつくるものを指して用いられるようになりました。

■Judith Scott ジュディス・スコット

1943年5月1日オハイオ州シンシナチに生まれる。ダウン症と診断された彼女は、7歳まで家族と暮らした後、就学時を迎え、施設に収容される。36年におよぶ施設生活の後、1986年双子の姉にひきとられて施設を出て、現在はカリフォルニアで姉の保護のもとに暮らしている。1987年から、障害者に生涯学習を提供するクリエイティブ・グロウス・アートセンター(Creative Growth Art Center, Oakland California )に参加。毎日センターに通い、そのアトリエで意欲的に制作を続けている。


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