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life/art 04

今村源、金沢健一、須田悦弘、田中信行、中村政人の5人の仕事を5年間定点観測することで、従来の美術でも工芸でもない新たなジャンルの可能性を問うシリーズ企画展「life/art」(ライフ・スラッシュ・アート)。2001年にスタートし、毎回、ひとりの作家が展覧会のテーマを設定して、他の作家もそのテーマに合わせて作品を制作するというユニークなやり方を続けてきました。第4回を迎える今回は今村源がイニシアチブをとり、他の4作家との共同制作を試みます。

「作家」(=芸術家、アーティスト)と「職人」(=アルティザン)は、ともにものづくりの主体者である点は同じですが、「作家」が自身の創造性を拠りどころとして自由に発想できるのに対し、「職人」は基本的に他者の注文に応じる立場であり発想の主体者ではありません。例えば「作家」が椅子のようなかたちをした(しかし座れない)オブジェをつくることは許されますが、注文主が望まない限り家具職人が座れない椅子をつくることはできません。もしつくったとしたら、それはもはや「職人」の仕事とは見なされないでしょう。もちろんパブリックアートなど「作家」に制作を注文する場合もありますが、この場合は発想も含めて依頼するので、「職人」に発注する場合とは意味合いが本質的に異なります。
ただし、「作家」・「職人」といった区別は近代化による個人主義の萌芽とともに生まれてきたもので、それ以前にはありませんでした。日本でも明治維新によりヨーロッパから芸術という概念が輸入されてから、このような違いが意識されるようになったのです。つまり「作家」そのものが近代の産物といえるでしょう。

今村は今回の共同制作を通じて、この「作家性」を問うことを試みます。
例えば須田悦弘とのコラボレーションでは、話し合いの結果、須田が今村に「机」を発注し、今村は須田に「羊歯」を発注することになりました。須田は今村の机を台座代わりに用いて自作を展示し、今村は須田の羊歯を取り込んだ作品を制作します。後半の作業は作家としての仕事といえるでしょうが、前半の部分は他者の注文に応じて制作する、極めて職人的な作業と捉えられます。ひとつの作品のなかに、作家的要素と職人的要素が混在しているのです。
金沢健一とのペアでは、初めての映像作品に取り組みました。鉄板を擦って音を出す「振動態」を用いた映像ですが、今村の視点が加わることにより、これまで金沢がつくってきた記録映像とはまったく違うものに仕上がりました。この場合、金沢と彼の作品「振動態」は今村にとっての素材である、つまり今村が主で金沢が従であるようにも見えますが、ある場面では金沢の注文に応じて今村が演じるケースもあり、この場合は主従が逆転します。そもそも映像というアイディア自体がふたりの話し合いのなかから生まれたものであり、作家を作家たらしめる発想のレベルでの共同作業が行われているのです。
さらには今村が握った「おにぎり」に田中信行が「漆」を塗るなど、今回はひとりひとり個々の作品とは大幅に趣が異なる、4種類のコラボレーション作品がずらりと並びます。これらの作品を通じて、「作家性」「共同性」について考察を巡らしていただく展覧会です。


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