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LAURA OWENS

資生堂ギャラリーでは、注目の若手アーティスト、ローラ・オーエンズの日本初個展を開催します。2003年、ロサンゼルス現代美術館で史上最年少(当時33歳)での個展を開催、その後2004年のホイットニー・ビエンナーレに参加するなど精力的に活動を続けています。

1970年にアメリカのオハイオ州で生まれたオーエンズは、1994年にカリフォルニア・インスティテュート・オブ・アーツ(通称Cal Arts)を卒業して以来、ロサンゼルスを活動の拠点にしています。オーエンズの描く絵画は、動物、草花、人物といった具象的なものから、幾何学的な要素から成る風景らしき抽象画まで多岐にわたります。チューブから搾り出したアクリル絵具をそのままキャンバスに押しつける大胆な手法をとる一方で、布の切れ端や紙のみならず、木製の舌圧子(舌を下方に圧すのに用いる医療用のへら)やティッシュペーパーなどといった珍しい素材を丁寧に貼り合わせた繊細なコラージュ風のドローイングも制作しています。絵画=平面という概念を根本から覆すような厚みをもつ画風。あるいは、薄い色面を重ねていく透明感のある水彩画。オーエンズは絵画という古典的なジャンルを追求し続けながらも、このようなさまざまな手法で絵画の既成概念を軽やかに超越していきます。中世の刺繍や東洋美術からの影響を指摘され、ミロ、ホックニー、フランケンサーラーといったさまざまな先人との比較で語られることの多い彼女ですが、翻ればそれは、彼女の作品が既知のものをどこかで想起させることはあるにしても、奇をてらう安易な「新しさ」を求めているだけのものではないということを、逆説的に物語っているのではないでしょうか。

また、熊、猿、フクロウが共存する森の風景や、優雅に水上を飛び回るカモメなど、一見牧歌的で楽しげなモチーフに見え隠れする微かな不穏(木々には蜘蛛の巣がはりつき、空にはカモメの影が映るというあり得ない状況が描かれている)が、観る者を惹きつけてやみません。「月並みだけど、花の絵を描いてどこが悪いの?」と語るオーエンズ。「たかが絵画ですもの」と締めくくる言葉には、素直さと同時にある種の含みがあり、それは甘美なものと毒気が表裏一体に存在する彼女の絵画世界に通じる発言と言えるかもしれません。オーエンズのこれまで描いてきた作品はすべて無題であり、それ故に鑑賞者は彼女の作品を前に、それぞれの自由な想像力を膨らませることができるでしょう。
今回は、これまで欧米でも発表されていない作品を含む大型ペインティングを6点、ドローイングを17点ほど展示する予定です。ペインティングのうち1点は本展のために現在制作中で、展覧会の開始直前までオーエンズが筆を入れ続ける最新作となります。

* Wakefield, Neville, "Laura Owens," Elle Decor, 2001, p.48, p.52


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