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アフリカン・アメリカン・キルト


「アフリカン・アメリカン・キルト―記憶と希望をつなぐ女性たち」展

  • 1940s-1950s テキサス州 木綿、小麦粉袋(裏)
  • 213×168cm
  • Collection of Corrine Riley/Courtesy of Ricco/
  • Maresca Gallery

資生堂は、1975年ザ・ギンザ開店の折に「アーリーアメリカのキルティング」展を開催し、日本で初めてアメリカン・キルトを本格的に紹介しました。日本のキルトブームに火をつけたこの展覧会から30年、今回はアフリカン・アメリカン・キルト約20点を通して、新しい美の世界をご紹介します。
アフリカン・アメリカン・キルトとは、アメリカ南部諸州に暮らすアフリカ系女性が作るキルトです。同じアメリカン・キルトでも、東海岸や中西部のヨーロッパ系の人々が作る伝統的パターンをていねいに縫い合わせた端正なキルトに対し、南部出身のアフリカ系の人々のキルトは、まったく異質の美と強さを見せてくれます。構成、色使いともに、型破りなダイナミズムと即興性が特徴的です。
シンプルで大胆な幾何学的構成。アシンメトリー(非対称)な感覚。強烈な色彩。ふぞろいの針目が誘う躍動感。即興性。手本もなく、反復もない一度限りの表現―アフリカン・アメリカン・キルトからは、アフリカにルーツをもつジャズの音楽が浮かびます。アフリカ系の人々が新大陸で英語という言語に出会い、アフリカの音楽をベースとしたハラー(労働歌)やスピリチュアル(聖歌)、ブルース、ゴスペルなどをルーツとして芸術の高みにまできわめたジャズ。アフリカ系の人々の生活のなかではぐくまれてきたこの音楽のように、キルトにもアフリカにルーツのある人々の美的感覚がみごとに発揮されています。


アーティストとしての訓練を受けたことのない無名の女性たちが、家族の古着や作物の種や肥糧の袋など、雑多な布を継ぎ合わせて、家族のためにつくったキルトたち。仕事や家事・育児に忙しく働く女性たちが、キルトつくりにささやかな自由を見出し、選んだ布を自分好みにレイアウトしてゆく創作の喜びに浸っていたことは想像に難くありません。
針と糸と布によって生み出されたダイナミックな色とリズミカルなかたち―アフリカ系アメリカ人である彼女たちが、自らの記憶と希望を託して日々の暮らしのなかからつくりだした、たくましい美の世界に出会ってください。

  • (左) 1940s ジョージア州 デニム193×163cm
  • Collection of Corrine Riley/Courtesy of Ricco/
  • Maresca Gallery

  • (右) 1940s アラバマ州 木綿、コーデュロイ、レーヨン
  • 201×157cm
  • Collection of Corrine Riley/Courtesy of Ricco/
  • Maresca Gallery
  • 1930s-1940s ジョージア州 ウール、木綿 218×152cm
  • Collection of Corrine Riley/Courtesy of Ricco/
  • Maresca Gallery

■「アフリカン・アメリカン・キルト―記憶と希望をつなぐ女性たち」展 開催概要

主催: 株式会社 資生堂
企画協力: 小出由紀子(インディペンデント・キュレーター)
協力: ANA
会期: 2007年8月28日(火)〜10月14日(日)
毎週月曜休
平日 11:00〜19:00
日曜・祝日 11:00〜18:00
会場: 資生堂ギャラリー
〒104-0061
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
Tel:03-3572-3901 Fax:03-3572-3951

■キルト閑話・・・キルトはアートになれるのか

1975年ザ・ギンザで開かれた「アーリー・アメリカンのキルティング展」は、アメリカのホルスタイン夫妻のコレクションを借用したものでした。夫妻のコレクションは1973年、ニューヨークのホイットニー美術館で展示され、「アメリカン・キルトのアブストラクト・デザイン」と題されたこの展覧会は当時のアートシーンの大きな話題となりました。グランマのキルトに、戦後アメリカ美術の主流であった抽象表現主義絵画と共通する抽象性を見出した着眼への賞賛と、おばあちゃんのベッドカバーを芸術の文脈に乗せることへの抵抗から、賛否両論を呼んだのです。

そして、30年前を彷彿する現象が再び21世紀に起りました。同じホイットニー美術館で「Gee's Bend Quilts 展」が開かれたときのことです。「アメリカが生んだ稀有なモダンアート作品(some of the most miraculous works of modern art America has produced)」と絶賛される一方で、一部の批評家はキルトをアートとして持ち上げることに懐疑的でした。作り手が一般女性であること、作品としてではなく生活用品として作られたものであることが、アートとしての認知にブレーキをかけるということは、30年経っても変わっていないようです。


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