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2017年05月22日

発行元:(株)資生堂

研究・サプライネットワーク

第10回 「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」受賞者10名決定

未来のリーダーとなる女性研究者を支援し、次世代への裾野を広げる

次世代の指導的役割を担う女性研究者を支援する、第10回「資生堂 女性研究者サイエンスグラント※1」の受賞者10名を選出しました(応募総数193名)。授賞式は7月7日(金)に開催し、受賞者には資生堂から各100万円の研究助成金を贈呈します。資生堂は今後も継続的に優秀な女性研究者の研究活動を支援することにより、指導的女性研究者の育成に貢献してまいります。
※1:グラントとは「研究助成金」の意味

資生堂 女性研究者サイエンスグラント設立の背景

日本における研究者に占める女性の割合は15.3%と過去最高を更新したものの、主要国(例: 1位 ロシア40.3%、2位 イギリス37.4%)と比べて大きく下回っています※2。また、助教・准教授・教授と職位が上がるにつれてさらに女性の割合が低くなる傾向があります※3。この背景には、女性は男性に比べて出産・育児・介護などの影響を受けやすい一方で、サポートする環境が十分ではないことが要因として挙げられます。資生堂はこうした状況を踏まえ、指導的立場を目指す意欲があり、科学技術発展への貢献が期待できる女性研究者を支援することを目的に、2007年度に本グラントを設立しました。
※2:総務省 平成28年科学技術研究調査より  ※3:内閣府 男女共同参画ハンドブックより

未来のリーダーとなる女性研究者を支援

本グラントは応募者の年齢制限を設けず、研究分野も自然科学全般を対象にしています。女性研究者が出産・育児・介護などに左右されずに研究を続けられるよう、出張時のベビーシッター代や研究を補助するアシスタントの雇用費など、助成金を柔軟に幅広く使用して頂けるのが特長です。本グラントの受賞は大学内外でのキャリアアップにも寄与し、歴代受賞者89名のうち5割近くが、受賞後に助教から准教授、准教授から教授へと昇格・栄転されました。
本グラント審査委員長である執行役員常務の島谷庸一のコメント:「資生堂女性研究者サイエンスグラントを活用いただいた研究者の方々がご自身の研究を推進・発展させ、指導的な立場としても活躍されていることを大変うれしく思います。この活動の継続が、まだまだ日本では少ない女性研究者が増える一助となり、また、研究者の方々の新しい交流・繋がりのチャンスとなり、多様な研究を育む機会となることを望みます。」

第10回 資生堂 女性研究者サイエンスグラント授賞式概要

名 称 第10回 資生堂 女性研究者サイエンスグラント 授賞式
日 時 2017年7月7日(金) 10:00~12:20
会 場 スペースFS汐留 (東京都港区東新橋1-1-16汐留FSビル3F)
授賞式次第
・主催者挨拶 [本グラント審査委員長、株式会社資生堂執行役員常務 島谷庸一]
・記念楯贈呈/第10回受賞者挨拶/第9回受賞者挨拶
・社外審査委員祝辞 [本グラント審査委員、東京大学 教授 近藤高志先生]
・基調講演「受賞者へのエール」
         [神奈川大学 准教授 岩倉いずみ先生 (本グラント第5回受賞者)]
         [東京農工大学 特任准教授 柳澤実穂先生 (本グラント第5回受賞者)]

第10回 資生堂 女性研究者サイエンスグラント 受賞者一覧

助成期間:2017年6月~2018年5月

氏名
所属・職位
研究分野・受賞研究テーマ
(ひとこと説明)

上田(石原)奈津実(あげた(いしはら)なつみ)
名古屋大学 理学研究科生命理学専攻 講師
【神経科学】
空間認知能力の基盤となるメカニズムの探索
(既知空間と未知空間を認識する脳内メカニズムを解明する研究)

織田 ゆか里(おだゆかり)
九州大学 大学院工学研究院応用化学部門 助教
【高分子科学】
潤滑界面の創製に向けた高分子グラフト層の新設計
(水溶性高分子を材料表面に固定化し、水中で潤滑性を示す界面を構築する研究)

坂田 綾香(さかたあやか)
情報・システム研究機構 統計数理研究所 モデリング研究系 助教
【統計学/統計物理学】
大自由度不規則系の物理学的手法を用いた高次元データに対する統計的モデリング理論の開発
(複雑なデータに潜む法則を見つけるための数学的理論に関する研究)

庄子 晶子(しょうじあきこ)
北海道大学 大学院水産科学研究院 資源生態学領域資源生態学講座 日本学術振興会特別研究員
【動物行動生態学】
長距離移動する海鳥を汚染トレーサーとする物質輸送の解明
(海鳥が環境汚染物質をどのように運び、広げていくのかの研究)

鈴木 登代子(すずきとよこ)
神戸大学 大学院工学研究科応用化学専攻 助教
【界面化学/有機高分子化学】
シリカ偏在カプセル粒子の作製とその応用
(真球状の高分子カプセルの片側半分にだけ無機物質を存在させることで、常に同じ方向を向く微粒子を作ることとその応用に関する研究)

建石 寿枝(たていしひさえ)
甲南大学 先端生命工学研究所 講師
【生命化学/生体機能科学】
細胞のがん化に伴うDNA四重螺旋の構造変化が転写変異に及ぼす影響を解析する
(特殊なカタチのDNA(四重螺旋構造)によって制御される細胞のがん化機構を解明する研究)

朴 昭映(ぱくそやん)
京都大学 理学研究科化学専攻 助教
【生物化学】
DNAの螺旋構造に基づく金属酵素の開発と不斉合成への応用
(DNAの二重螺旋構造に基づく触媒を開発し、それを用いて化合物を合成する研究)

坂東 麻衣(ばんどうまい)
九州大学 大学院工学研究院 航空宇宙工学部門 准教授
【軌道工学/制御工学】
惑星間を自由に行き来できる惑星間ハイウェイの研究
(天体の作る重力と人工的な推進力を利用することで惑星間を結ぶ”ハイウェイ“を作る研究)

日出間 るり(ひでまるり) 
神戸大学 大学院工学研究科 応用化学専攻 助教
【化学工学/ソフトマターのレオロジー】
Flow Focusingによるダブルエマルションの安定的創成とその力学評価
(ミクロな流れをコントロールして柔らかい粒子を作り調べる研究)

溝尻 瑞枝(みぞしりみずえ)
名古屋大学 大学院工学研究科 マイクロ・ナノ機械理工学専攻 助教
【レーザ微細加工】
金属酸化物ナノ粒子のフェムト秒レーザ還元焼結を用いた3次元金属-半導体複合微細構造の直接描画
(特殊なレーザを用いて,金属の小さな3次元構造を作る(描く)研究)

敬称略、氏名五十音順

※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。