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研究開発
Innovation

2005年度

第104回日本皮膚科学会総会 ランチョンセミナー

「毛におけるトランスレーショナル・リサーチの実際」

開催年月 :
2005年4月
共催 :
第104回日本皮膚科学会総会・資生堂

概要

  1. 1) 座長から

    「はじめに」

    勝岡 憲生氏(北里大学医学部皮膚科 教授)

  1. 2) 講演I

    「アデノシンの毛成長促進機序」

    荒瀬 誠治氏(徳島大学医学部皮膚科 教授)

  1. 3) 講演II

    「アデノシンの男性型脱毛に対する有用性」

    田島 正裕(資生堂リサーチセンター)


座長から
「はじめに」

勝岡 憲生氏(北里大学医学部皮膚科 教授)

勝岡 憲生氏 PHOTO

最近の医療現場においてはEBM(Evidence Based Medicine)、すなわち科学的根拠に基づく医療、が求められています。近年の基礎科学、応用科学の発展は、現代社会に不可欠な高度なコンピューター技術の開発に繋がり、基礎医科学における分子生物学の発展は、トランスレーショナルリサーチ(Translational Research)、すなわち基礎医科学的分野での知見を臨床医科学へ応用する研究、に導いたといえます。我々は今、各分野における膨大な知見をもとに、ヒトに一層役立つ診断と治療の発見を目指すことが期待されています。
毛の生物学の分野においても近年の基礎的研究の成果は目覚しく、男性型脱毛(壮年性脱毛)の発症機序に関しても分子生物学的アプローチにより着実に解明への道を歩んでいるといえるでしょう。そしてそれらの知見をもとに、まさにトランスレーショナルリサーチの一端ともいえる、新規に開発された育毛剤が注目されています。
このセミナーでは、徳島大学教授 荒瀬誠治先生と資生堂リサーチセンター 田島正裕氏に、今日までに明らかにされた男性型脱毛発症の機序について概論していただくと同時に、evidenceに基づいた新規育毛剤有効成分としてのアデノシンの作用機序とその効果について紹介していただきます。多くの皆様に大変役立つセミナーと自負しております。


講演I
「アデノシンの毛成長促進機序」

荒瀬 誠治氏(徳島大学医学部皮膚科 教授)

荒瀬 誠治氏 PHOTO

ミノキシジールがアデノシン受容体(Ado-R)を介して毛乳頭細胞(DPC)のVEGF産生を促す現象を見出した時、“アデノシンそのものが育毛剤となる可能性が高い”との思いが浮かんだ。事実、ヒト毛包器官培養を用いての実験で、アデノシンは毛成長を有為に促進した。作用機序解明のため、DPCにアデノシンを作用させ発現が増幅される遺伝子をDNAアレー法で捜したところ、数多くの遺伝子が見つかった。それらの遺伝子産物の影響をヒト毛包器官培養法でスクリーニングしたところ、角化細胞増殖因子(FGF-7)が毛母細胞のDNA合成や毛成長を促進することを見出した。また、Ado-Rのサブタイプ特異的阻害剤を使用しての実験で、アデノシンによるFGF-7産生促進はDPCのA2b受容体を介することも判明した。アデノシンはDPCのA2b受容体を介してFGF-7産生を促進することで毛成長をうながす可能性が高い。


講演II
「アデノシンの男性型脱毛に対する有用性」

田島 正裕(資生堂リサーチセンター)

田島 正裕 PHOTO

アデノシンは、毛成長促進、血行促進などの効果が知られている。毛包培養細胞を用いた研究で、アデノシンは、毛乳頭細胞のアデノシンA2b受容体に作用し角化細胞増殖因子(FGF-7)などの因子を放出し、毛母細胞増殖に寄与することが推定された。対照としてニコチン酸アミド配合製剤を用い、男性型脱毛を有する男性104名を被験者とした6ヶ月間の二重遮蔽群間比較試験において、アデノシン配合製剤使用群は、外観観察を中心に評価した全般改善度が有意に高かった。薄毛部局所の評価では、アデノシン配合製剤使用群は、太毛の割合が有意に増加し、うぶ毛の割合が減少した。従って、アデノシンによる育毛効果は、男性型脱毛でうぶ毛化してしまった毛髪を太くすることによると考えられ、その機序として、FGF-7等の増殖因子による毛成長が関与していると考えられた。副作用は見られず、アデノシンは育毛剤として有用性が高いものと考えられた。

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