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研究開発
Innovation

2008年度

第107回日本皮膚科学会総会 イブニングセミナー

「学校における紫外線対策」-課題解決に向けた取組み-

開催年月 :
2008年4月19日
共催 :
第107回日本皮膚科学会総会・資生堂

概要

  1. 1)座長

    佐々木 りか子氏
    前 国立成育医療センター 皮膚科医長・りかこ皮フ科クリニック院長

  1. 2) サンスクリーン剤使用がプール水の水質におよぼす影響について
    - 日本小児皮膚科学会の取組み-

    佐々木 りか子氏
    前 国立成育医療センター 皮膚科医長・りかこ皮フ科クリニック院長

  1. 3) サンスクリーン剤使用がプール水の水質におよぼす影響について
    - 大阪皮膚科医会の取組み-

    西井 貴美子氏
    大阪皮膚科医会理事・西井皮膚科クリニック

  1. 4) パネルディスカッション「学校における紫外線対策の現状とその課題解決に向けて」

    司 会 :
    佐々木 りか子氏
    パネリスト :
    西井 貴美子氏
    竹内 千佳夫氏(大阪府学校保健会 保健主事部会 会長)
    多田 まり子氏(全国養護教諭連絡協議会 副会長)
    田中 俊昭氏(東京都学校薬剤師会 会長)

サンスクリーン剤使用がプール水の水質におよぼす影響について
- 日本小児皮膚科学会の取組み-

佐々木 りか子氏(前 国立成育医療センター 皮膚科医長・りかこ皮フ科クリニック院長)

昨年の本会において、日本小児皮膚科学会と太陽紫外線防御研究委員会が共同で実施した、全国1147 の小学校を対象とする紫外線対策の現状に関する調査結果を発表した。その中で、プール水の汚染が、プール授業時のサンスクリーン使用を禁止する最大の理由であることが明らかとなった。それを受け『小学生を対象としたプール授業におけるサンスクリーン使用によるプールの水質試験[以下、プールの水質試験]』を、(株)資生堂の協力で実施した。
プールの水質試験に先立ち、(1)試験管レベルにおける塗布したサンスクリーンの全量が溶出したことを想定した水質試験、(2)大人による小規模スケールでの実使用試験、(3)小学校のプール授業を活用した実スケールでの1 日規模の使用試験を実施し、基礎データを積み重ねた。それら試験の結果、ある一定条件下においては、水質基準に抵触しないと考えられたことから、1シーズンを通したプールの水質試験を実施した。
プールの水質試験では、文部科学省の「学校環境衛生の基準」中の「水泳プールの管理」に定められる水素イオン濃度、濁度、遊離残留塩素、有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)、総トリハロメタン、大腸菌、一般細菌数に加え、サンスクリーンの成分の一つである亜鉛量も評価した。その結果、サンスクリーンに由来する水質に対する問題は認められず、また皮膚の有害事象も認められなかった。今回の結果だけを以って結論付けるのは早計であるが、この結果は、プール授業時にサンスクリーンを用いても水質および安全性が確保できる可能性があることを示唆していると、考えられた。それを受け、プール授業における紫外線対策の考え方や、この方面における皮膚科医の活動の方向性について、提案する。


サンスクリーン剤使用がプール水の水質におよぼす影響について
- 大阪皮膚科医会の取り組み-

西井 貴美子氏(大阪皮膚科医会理事・西井皮膚科クリニック院長)

近年、紫外線による皮膚疾患の予防の重要性が叫ばれているにもかかわらず、水泳授業時のサンスクリーン剤使用を禁止している学校が少なくない。文部科学省はサンスクリーン剤の使用制限をしていないが、自由に使用できる学校と禁止している学校があるのが現状である。我々はこの問題に5年前より着目し平成17 年度大阪府医師会医学会医学研究奨励費助成を受けて、大阪府下の公立学校1200校を対象に「水泳プール授業時のサンスクリーン剤使用の実態調査」を実施した。結果は皮膚の科学(第6巻・第3号・2007年6月)に掲載された。サンスクリーン剤使用を禁止または不要としている学校が3割以上あり、禁止する理由として「水質汚染の心配」が多数を占めたため、平成19年夏に大阪府内の中学校14校の協力を得てプール授業1シーズン終了後にプール水の水質検査(水素イオン濃度、濁度、遊離残留塩素、過マンガン酸カリウム消費量、大腸菌、総トリハロメタン)を実施した。結果については第107回日本皮膚科学会総会一般演題として発表する。
大阪皮膚科医会会員に対するアンケート調査では96%がプールでのサンスクリーン剤使用は自由にしてよい・許可してよいと回答し、学校側と皮膚科医側の意識に明らかな差を認めた。サンスクリーン剤使用を禁止するのではなく自由にしてほしいことを学校および校医、薬剤師会、市町村の教育委員会に要望し、児童や生徒の健康管理が適格に行われるよう活動していく必要があると考える。本セミナーではプールで使用するサンスクリーン剤の条件などについて大阪皮膚科医会会員にアンケート調査した結果も含めて報告する。


パネルディスカッション「学校における紫外線対策の現状とその課題解決に向けて」

竹内 千佳夫氏(大阪府学校保健会 保健主事部会 会長)

『小学校における紫外線対策 ~学校長の立場から~』
本校では、年間を通して登下校時には黄色の帽子(通学帽子)、体育の時間などに「赤白帽子」を着用させている。そして、教師の話を聞く時や体育の見学などはできるだけ「日陰」で行うようにしている。また、学校集会も最近はほとんど体育館で実施している。紫外線が最も強くなる夏休みには、「外出時の帽子の着用」や「日向で長時間遊ばない」などについて指導している。これらは、単に紫外線予防だけでなく、熱中症予防でもある。
本校では、6月中旬からの水泳指導では、「見学の児童」に対する対策として、プールサイドに「日よけ用のテント」を設置し、日陰をつくり見学させている。指導する教師は、たいていが長袖のTシャツを着用し、紫外線予防をしている。
なお、本校では、日やけ止めクリーム等の実態はほんどないが、「アトピー性疾患」による長袖の着用など個人差を配慮した対応はしている。今後、小学校期において、紫外線対策がどの程度必要なのかについて十分理解し、「自分の健康は自分で守る」ために、指導していく必要がある。

多田 まり子氏(全国養護教諭連絡協議会 副会長)

『中学校における紫外線対策 ~養護教諭の立場から~』
「中学保健体育」の教科書では、保健編の中の健康と環境の項「環境の汚染と保全」に、「近年の環境問題と健康」として、大量のごみ、生活排水、ダイオキシンなどの化学物質、地球規模で進む温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、海洋汚染などについて記載されているのみで、紫外線対策については特に述べられていないのが現状である。紫外線が強い4月から9月は、屋外での体育の授業や水泳指導、運動部の部活動練習などで生徒は真っ黒に日焼けをする。本校では紫外線による健康被害を少なくしようと、帽子やサンバイザーの使用を奨励している。また、保護者からの申し出があれば「サンスクリーン剤」の使用を許可し、紫外線対策用の長袖水着の着用を許可する等、状況に応じた対策を講じている。今後、紫外線対策の必要性をわかりやすくまとめた資料等の頌布、情報提供が望まれる。

田中 俊昭氏(東京都学校薬剤師会 会長)

『学校における紫外線対策 ~学校薬剤師の立場から~』
現在、学校における紫外線対策については、文部科学省の基準に定められていないため、学校薬剤師として学校より指導助言を求められても答えられないのが現状である。指導助言を求められる地域は、紫外線が強い南部(四国・九州・沖縄方面)において多く、北になるに従い少ない。また、指導助言を求められる内容は、(1)校庭での運動(2)校外活動(3)プール授業時等である。(1)(2)では、顔・手足等露出する部位への対策であり、現在は防止・長袖の衣類による防御が主であり、サンスクリーン剤に頼ることは特にないが、一部の中学生・高校生の女子には独自に使用している(学校は黙認)と聞いている。
(3)では、学年が高くなるに従い、サンスクリーン剤使用の要望が高くなる傾向があるが、プール水へ溶出し汚濁に対する情報不足と放水時の水質汚濁法(Zn)への関係から、現在は使用を認めていないが、サンスクリーン剤がこれらに抵触しない結果が得られれば使用を認める方向に進むと思われる。

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