1. Home
  2. サステナビリティ
  3. 消費者課題
  4. 動物実験と代替法に対する取り組み
  5. 化粧品の成分の動物実験廃止を目指す円卓会議
  6. 第三回「化粧品の成分の動物実験廃止を目指す円卓会議」を開催

サステナビリティ
Sustainability

化粧品の成分の動物実験廃止を目指す円卓会議

第三回「化粧品の成分の動物実験廃止を目指す円卓会議」を開催

(第三回円卓会議開催の模様)
開催日時:
2011年6月2日(木)9:00-12:30
場所:
資生堂汐留オフィス会議室

2010年11月の第二回に引きつづき、第三回円卓会議を開催しました。ご参加いただいたのは、弁護士、消費者団体、動物実験代替法や安全性研究の専門家、市民団体、マスコミ、CSR有識者など9名のステークホルダーの皆さまです。資生堂における動物実験廃止に向けた取り組みの成果や進捗状況をはじめ、参加者それぞれの専門領域における情報やご意見を共有し、動物実験を廃止するために必要なことは何かを議論しました。

ダイアログにご参加いただいた方々(50音順)

浅野 明子氏
高木國雄法律事務所 弁護士
阿南 久氏
全国消費者団体連絡会 事務局長
板垣 宏氏
横浜国立大学大学院工学研究院 教授
亀倉 弘美氏
NPO法人 動物実験の廃止を求める会 (JAVA)理事
河口 真理子氏
大和証券グループ本社 広報部 CSR担当部長
田中 憲穂氏
日本動物実験代替法学会 元会長
中野 栄子氏
日経BPコンサルティング プロデューサー
藤井 敏彦氏
経済産業研究所 コンサルティングフェロー
(司会) 川北 秀人氏
IIHOE 人と組織と地球のための国際研究所 代表

資生堂参加者

株式会社 資生堂 執行役員 岩井 恒彦

資生堂事務局

株式会社 資生堂 CSR部

円卓会議で話し合われたこと

今回の話し合いの流れ

会議の前半では、まず資生堂から廃止に向けた進捗状況をご説明し、参加者の方々からは、動物愛護管理法改正の要点や、代替法研究開発の最新動向、企業へのアンケート結果などについてご発表いただきました。
そして後半では、参加者の間で共有された情報をもとに、動物実験廃止に向けたムーブメントを社会全体に広げていくために何ができるかを議論しました。

社会で広く情報共有を図ることが急務

前半、資生堂からご報告した2010年度の主な成果・進捗は、以下の4点です。

① 自社での動物実験の廃止を達成

2010年3月に宣言した「 2011年3月までに自社での動物実験を廃止 [PDF:71.8KB] 」については、2011年3月30日をもって自社での動物実験は終了し、4月5日には施設も閉鎖しました。

② 動物実験審議会へ第三者委員が参画

第一回会議でご提案された「動物実験審議会への第三者委員の参画」については、医師と獣医師の計2名の外部有識者の方に第三者委員としてご参加いただいています。

③ 実験動物使用数の推移

実験動物使用数 [PDF:73.1KB] については減少傾向にあり、2001年度と比較して2010年度は約半分となりました。なお、2010年度の使用数は前年に比べ増加しましたが、これは中国において、「化粧品の薬事申請手続きに関する法律」および「化粧品原料の安全性に関する法律」の運用が厳格化され、輸入品に含まれる新原料の安全性について動物実験による確認を求められるようになったためです。

④ 代替法の公定化に向けた進展

「代替法の公定化(各国・地域の法制度において正式な実験方法として認可されること)」に向けて着実に進展しています。現在、特に皮膚感作性試験代替法、眼刺激性試験代替法の2つの代替法を推進しています。

後半は、それぞれの立場から意見を述べ合うなかで、動物実験廃止を実現するためには、「社会全体で認識を共有することが必要」、「まだまだ一般的な消費者は知らない」とあらためて確認されました。
そして、さまざまなステークホルダーとのコミュニケーションを図るために、円卓会議の参加者同士でどんな連携が取れるのか。具体的なアクションにまで、議論は発展しました。

ご参加いただいた皆さまからのご意見・ご提案(50音順)

浅野 明子氏/高木國雄法律事務所 弁護士、第一東京弁護士会環境保全対策委員会 副委員長、日本弁護士連合会公害対策・環境保全委員会委員、ペット法学会会員

【ご意見】「動物の愛護及び管理に関する法律」は、2012年に改正予定で、目下、実験施設関連を動物取扱業に追加すること、現行「登録制」の動物取扱業を「許可制」にすることなども視野に入れて検討されています。一方で、大学や実験施設を対象としたアンケートを見ると、動物福祉に関する認知度がいまだ不十分と言わざるを得ません。登録・許可基準、使用後、動物の殺処分方法に関する指針等の徹底、さらには施設等で働く労働者の安全などを取り入れた法令に改正された場合、認知度も透明性も必然的に高くなってくるはずです。つまりこれまでの密室のような状況から、徐々にオープンにせざるを得ない状況に変わっていくでしょう。動物を扱う組織では、このような流れにも対応できるようにしておくことが求められてくると思います。

浅野氏

阿南 久氏/全国消費者団体連絡会 事務局長、内閣府、厚生労働省、農林水産省の審議会等にも参画

【ご意見】消費者のほとんどは、これまで化粧品の安全性保証に動物実験が求められてきたことを知りません。代替法の開発の現状も、一般には全く知られていません。赤裸々に事実を知らせれば、自分たちの化粧品の使い方と安全性試験の方法を見つめ直すよいきっかけになるでしょう。
私たち消費者団体としては、まずその現実と、そして動物実験の廃止に向けた企業や市民活動の取り組みについて広く伝えることが急務だと感じました。勉強会やシンポジウムなどの開催も検討したいと思います。
安全性検証の整備については、一社だけで解決できる問題ではなく、国・行政が動くことも必要であるので、消費者団体の私たちが連携して働きかけられることについても検討していきたいです。

阿南氏

板垣 宏氏/横浜国立大学大学院工学研究院 教授、元資生堂代替法開発研究所長、日本動物実験代替法学会元会長、元日本化粧品工業連合会技術委員会動物実験代替専門委員会委員長

【ご意見】私は前回までは資生堂の代替法研究者として参加していましたが、今回からは大学院という研究・教育の立場からの参加になります。この4月から現職に就きましたが、社会では、動物愛護・福祉についても、動物実験廃止に向けた動きについても、想像していた以上に知られていない現状に驚いているところです。
今は、動物実験廃止に向けた過渡期ではないかと捉えています。過渡期においては、その時の良識で判断したことを同時並行で進め、その結果については、後世の評価を受けることになると思います。資生堂は自社での動物実験を廃止しましたが、法規上必要な場合、あるいは代替法がないものは、安全性担保の観点で外部委託せざるをえないのが現状です。この現状を変えるためには、今までとは違った切り口からもアプローチし、変化を加速していく必要があると思います。代替法学会などとも協力し、社会へのコミュニケーションを促進していくことも有効ではないでしょうか。

板垣氏

亀倉 弘美氏/NPO法人 動物実験の廃止を求める会(JAVA)理事

【ご意見】私たちの会では、2010年秋国内の化粧品メーカー12社に対して化粧品の動物実験に関する方針についての公開質問状を送りました。各社とも「動物愛護の精神は理解している」が「動物実験は必要最低限行う」として、具体的な動物実験廃止へのロードマップに言及した社はありませんでした。 2010年5月にはOIE(国際獣疫事務局)で実験動物福祉に関する初めての国際基準が策定され、同年9月にはEUで実験動物保護法が改正されるなど、動物実験縮減の流れが国際的にも加速している中、日本の化粧品業界の意識は低いと言わざるを得ず、業界全体の意識を改善していく必要があると考えています。
奇しくもこのたびの原発事故で、既存のシステムに頼りきった構造が代替エネルギーの普及を阻んできたことが指摘されるようになりました。動物実験についても同じことが言えるのではないでしょうか。いまこそ旧来の価値観を見直し、動物の犠牲を減らしたいという思いを共有して、動物実験廃止という目標に向けて、立場を超えて取り組んでいきたいと考えています。

亀倉氏

河口 真理子氏/大和証券グループ本社 広報部CSR担当部長、社会的責任投資フォーラム理事&運営委員、東京都環境審議会委員

【ご意見】素朴な疑問なのですが、現在世の中には、一生かかっても使いきれないほどの多種多様な化粧品が大量に出ています。さらに動物実験をしてまで新しい商品を作る必要があるのか、安全性がわかっている物質を使っても十分だし、新規物質を使う場合も、代替法が確立されてから開発してもいいのじゃないか、という気がします。一般的な消費者は安全性を保証するために動物実験が求められていることを知りません。私もこのダイアログにお招きいただいて、身近な化粧品の裏にこんな大変な問題があることをはじめて知りました。「シワやシミをなくしたい」という気持ちがいかに強くても、動物を犠牲にしている事実を知った上で求めるのか。何のために動物実験を行っているのか、知らせる努力が必要と感じます。CSRがステークホルダーとのコミュニケーションということなら、まさにこのコミュニケーションが求められます。
今日のお話をきいていて、気になったのは、化粧品会社側の代替法の開発にしても、法律の改正にしても、またNGOの廃止を求める運動にしても、一般消費者の感覚や知識との間に大きなギャップがあることです。社会全体の理解を深め、「みんなに関係していることだ」という意識を共有できる状況にするには、戦略的かつ戦術的な情報提供とコミュニケーションが欠かせません。

河口氏

田中 憲穂氏/日本動物実験代替法学会元会長、鳥取大学客員教授、食薬安全センター秦野研究所研究顧問

【ご意見】代替法の開発と実用化についてはEUが先進的で、米国がそれを追い、日本は後発組という状況です。そんな中、2011年2月、厚生労働省は、 JaCVAMが評価した新規代替試験法を活用するという画期的な事務連絡がありました。これにより、医薬部外品の承認申請に、ヒト皮膚モデルによる皮膚腐食性試験や皮膚刺激性試験の代替法による安全性評価の枠組みづくりも進めることができるようになります。一方、経済産業省の5年プロジェクトで開発した発がん性の予測試験法はOECDガイドラインに申請し、免疫毒性、生殖発生毒性に関しては、バリデーション(検証)がスタートします。また、今年度より新たに肝毒性・腎毒性・神経毒性の短期試験法の開発が行われます。
この円卓会議をベースにして、動物実験廃止の前提となる代替試験法の開発をさらに促進するべく議論を深め、安全性試験のあり方について広く社会にアピールしていく必要があると思います。

田中氏

中野 栄子氏/日経BPコンサルティング プロデューサー、農林水産省農林水産技術会議評価専門委員会・東京都食品安全情報評価委員会・東京都港区食品衛生推進会議等の委員

【ご意見】動物実験廃止は、代替法による安全性確保が大前提であるべきだと私は考えます。代替法開発がかなり進み、そのうえで資生堂が2013年の廃止を目指していると今回の円卓会議で知って安心しました。例えば、家畜の余剰部位による安全性の実験が可能となれば、食品として命をいただくこととの延長に位置づけられるのではないでしょうか。もちろん家畜の「アニマルウェルフェア」を大切にしたうえでの実現を期待します。
安全性を担保するために動物実験が求められてきたこと、そしてその一方で動物の犠牲をなくすために代替法の開発が進められているという事実を、多くの人が知らないままにいます。より広く伝え、コミュニケーションを深めていかなければなりません。

中野氏

藤井 敏彦氏/経済産業研究所 コンサルティングフェロー

【ご意見】日本社会の傾向として、何か問題が発生すると必要以上に感情的になる局面が往々にしてあります。ですから動物実験廃止によってもし何かトラブルが生じてしまったら、大きな揺り戻しを引き起こしかねないかもしれません。国内外の事情が複雑にからみあってなかなか足並みを揃えにくい状況だと思いますが、業界や社会とペースを合わせて、安全の定義や代替法の制度整備を進めながら実現していくことが肝要です。
現在、国内と海外の定義や制度にもギャップがあります。業界内の理解や進捗にもギャップがあります。現実と消費者の理解にもギャップがあります。こうしたさまざまな落差を埋めることが、今はとても重要です。廃止という目標は共有しながら、相互にコミュニケーションを図っていくべきだと思います。

藤井氏

(司会)川北 秀人氏/IIHOE 人と組織と地球のための国際研究所 代表

【ご意見】第一回・第二回でも指摘されていましたが、やはり一般消費者とのコミュニケーションを抜きにしては、動物実験廃止のさらなる推進は考えられません。当会議の場以外でも、具体的なプランを練っていく時期にきているように感じます。コミュニケーションに関しては戦略と戦術が必要だという意見も出ました。
また、グローバルに展開する企業としては、EUや中国の規制や動向にも配慮・対応が求められます。世界における日本企業の取り組みの相対的なポジションを知るためには、欧州企業の取り組みを正確に理解することが重要です。海外では、企業と市民団体などの複数のセクターで関連省庁へのヒアリングを行うことはよくあります。そのような試みも検討してはいかがでしょうか。

川北氏

第三回会議を受けて

廃止に向かう過渡期である現在の状況において、第一回、二回以上に広い視野での認識の共有が図られたと感じています。さらに今回は、それぞれの立場で何ができるか、また参加者間で連携してできることは何かといった具体的なアクションにまで議論がおよび、今後の進展につながる内容となりました。

資生堂といたしましても、今年3月末の自社での動物実験廃止を足がかりに、EUの動向を視野に入れながら2013年3月の動物実験廃止を目指すという大きな目標に向けて、次のステージに進もうとしています。2011年度の主な取り組みとして、「 動物実験に頼らない社内の安全性保証体制 [PDF:88.9KB] 」について、2013年度から稼動できるよう、安全性保証の体制づくりと代替法の検討を加速します。安全性保証は、先ず情報による保証を行い、試験が必要な場合は、In vitro(細胞を使用した試験)やIn silico(既知データに基づく予測)の組み合わせによる保証体制を目指します。「 資生堂における代替法の開発状況 [PDF:134KB] 」は 、安全性評価で求められる11項目について、すでに5項目で社内保証できる代替法を開発済みです。残る6項目についても2011年度に更なる検討を全力で推進します。

岩井役員

化粧品開発の方向性 [PDF:72.1KB] 」についても、従来強みとしてきた「機能価値」に加え、使用時のお客さま満足に応える「使用感価値」や化粧本来の楽しさや夢に応える「情緒価値」を充実し、化粧品トータルとしてのお客さま満足を目指します。

動物実験の廃止とお客さまの満足、そして社会からの理解、これらはトレードオフの関係にあるのではなく、両立できるように尽力していくことが資生堂への期待と役割である、と改めて認識する機会となりました。

執行役員 岩井 恒彦

  • Google+
  • Facebook
  • Twitter

For Person (お客さまのために)
For Community (社会のために)
For Planet (地球環境のために)

ISO26000 7つの中核主題への対応
スペシャルコンテンツ
おすすめコンテンツ
資生堂グループのブランド一覧へ

新着情報