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過去の展覧会 2008年

「資生堂コレクション名品展」前期 日本画・現代美術・陶芸・硝子工芸

2008年10月1日(水)― 12月21日(日)

資生堂アートハウスは1978年11月静岡県掛川市に開館し、本年で30年を迎えました。以来、地域における美術館として、これまでに70回を越える展覧会を開催してまいりました。
この記念展では、これまでお客様からご好評を博した作品をできる限り多く取り上げながら、資生堂が1947年から断続的に開催している「椿会美術展」(第一次から第四次)と、「現代工藝展」(1975-1995)への出品作を中心に、前期、後期の会期を通じて、日本画、洋画、現代美術、工芸を併せた約130点を展覧しました。
企業がお客様とのより良き関係を培っていくうえで何ができるのか、30年にわたる美術品の公開はそのような問いかけへの資生堂の一つの回答でした。「コレクションは人なり」と言われますが、企業のコレクションもそれと同じく企業の顔を表します。化粧品とはまた違った別の形で資生堂の美意識を体現する企画展となりました。

「福原信三、路草 写真展」

2008年7月4日(金)― 9月23日(火)

資生堂初代社長であり、戦前の写真界に大きな足跡をのこした福原信三(1883-1948)と、その弟福原路草(ろそう・本名信辰1892-1946)の展覧会。
福原信三は、資生堂創業者福原有信の三男として現在の銀座に生まれました。少年時代から美術に関心を寄せ、画家を志しながらも父の希望により事業を継ぎますが、その後も芸術への情熱は衰えず、1921年には「寫眞藝術社」を設立し『寫眞藝術』誌を創刊。誌上で写真芸術論「光と其諧調」を展開し、芸術としての写真の確立に力を尽くしました。
一方、路草は信三の影響もあって中学時代から写真に傾倒しはじめます。信三と同様、風景に多くの題材をもとめますが、次第に理知的で明快な画面構成による作品を発表し、信三とは異なる独自の作風を確立していきました。
二人は作風こそ異なるものの、わが国における「芸術写真」の時代を代表する写真家であり、日本の風景写真の原点に位置付けられる作品をのこしています。信三没後60年に開催された本展では、福原信三と路草の作品50余点を展示。これらの作品に通底する気品や高踏的な雰囲気は、信三が目指した自らの企業イメージと重なるものであり、資生堂が戦前から受け継いできた美意識の源流を知っていただく機会となりました。

「牛島憲之・森芳雄・脇田和 油彩展」

4月3日(木)― 6月29日(日)

牛島憲之(うしじま のりゆき・1900-1997)、森 芳雄(もり よしお・1908-1997)、脇田 和(わきた かず・1908-2005)による油彩展。
これらの作家は、資生堂が芸術文化支援のために銀座の資生堂ギャラリーを会場に開催した「第3次椿会美術展」の創設メンバーです。牛島は油彩による日本の風景画に新境地をひらき、鳥をモチーフに抽象と具象の狭間で独自の世界を創り上げた脇田、人物像を中心に人間性への信頼が根底に流れる作品を描いた森と、それぞれ作風は異なりますが、いずれの作家も声高な自我主張からは離れた処に身をおきながら、格調と画品に満ちた作品を描き続けました。このような作家の傾向は「第3次椿会美術展」創設時のメンバーに共通するものではありますが、それは同時に、当時の資生堂の芸術に対する好みとも重なるものでした。
本展では、これらの3作家による油彩27点を展示。戦前からの過酷な時代を絵と共に生き、昭和の洋画壇に確固たる足跡を残した3名の清冽な作品の数々をご覧いただきました。

「版画の楽しみ 木版・銅版・リトグラフ」

2008年1月10日(木)― 3月30日(日)

多分野の版画作品による展覧会を開催しました。
版画は、版面に凹凸をもって表した絵柄を紙の上に反転印刷させてつくる絵画で、同じ版を使って複数枚の作品を刷ることができるのが大きな特徴です。技法的には凸版画、凹版画、平版画、孔版画の四つに分類され、古くから世界各地で制作されてきました。
この展覧会では、さまざまな技法を駆使して表現領域を広げてきた近現代の版画に焦点を絞り紹介。出品作家は、版画家として世界的な評価を受けた浜口陽三、駒井哲郎、池田満寿夫をはじめ、小磯良平、野見山暁治、小村雪岱などの洋画家や日本画家、また、サルバドール・ダリやベルナール・ビュフェなど海外作家の作品も展示しました。さらに常設展示場では、舟越 桂やジャコモ・マンズー、マリノ・マリーニらの彫刻を展示し、これらの作家による版画も併せて展覧。アートハウスの中で、同一作家による版画と彫刻の双方が楽しめる機会となりました。