中長期戦略2015-2020 VISION 2020 世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニーへ

VISION 2020 ROADMAP 資生堂は現在、中長期戦略「VISION 2020」に取り組んでいます。 ありたい姿である「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」を目指し、さまざまな改革を実行してきました。
2018年には、「新3カ年計画」を発表し、現在推進しています。

VISION 2020 「VISION 2020」を発表した2014年12月、2020年の目標は売上高1兆円超、営業利益1,000億円超でした。 しかし、2017年には売上高1兆円を3年前倒しで達成、2018年には営業利益1,000億円を2年前倒しで達成しました。
2018年までの実績を受け、2019年2月に「VISION 2020」の目標をさらに上方修正しました。 2019年現在の「VISION 2020」の目標は、売上高1兆2,900億円、営業利益1,500億円、営業利益率 11.6%となります。

VISION 2020 スタートの背景現実を直視する

中長期戦略「VISION 2020」を策定した2014年当時の資生堂は、成長力が低下しており、売上高は横ばい、営業利益も漸減傾向が続いていました。まずは、現状をしっかりと直視し、根本から解決すべ き課題の特定を進めていきました。 何が資生堂の問題なのか、さまざまな声を集めて明らかになったことは、「お客さまや市場の変化に追いついていない」という厳しい現状でした。

この現状を打破するために、解決すべき本質的な課題を2つ設定しました。1つ目は、日本事業の成長性を取り戻すことです。売上の約半分を占めていた日本事業は、長年にわたり売上と市場シェアを落としてきました。これにより、海外事業の売上が拡大しても、グループ全体では成長できていない状況でした。ホームマーケットの日本で、成長性を回復することが喫緊の課題でした。
2つ目は、海外の収益性を高めることです。
海外事業は、売上を拡大するための投資が先行しており、低収益が続いていました。グループ全体で収益率を上げていくためには、海外事業を成長させながら、同時に収益性を高めていくことが必要でした。

資生堂グループが抱える
本質的課題

成長力が低下していたのは、マーケティング投資や研究開発投資といった、ブランドやビジネスを強化するための投資を削減していたことが主な要因です。これにより、ブランドが弱体化し、お客さまの購買が減少したことで店頭売上が減少し、それに伴い当社の出荷が減少するという悪循環になっていました。売上が減少したことで、収益性も悪化していきました。

投資強化により悪循環から
好循環へ転換

この状況を打破し、資生堂が100年先も輝き続ける会社として成長性を取り戻すために、中長期戦略「VISION 2020」がスタートしました。

VISION 2020 前半3カ年 基本戦略と前半3カ年

VISION 2020 ROAD MAP 中長期戦略「VISION 2020」では、私たちのありたい姿を「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」としました。それを実現するために、2015年から2017年の前半3カ年を「事業基盤の再構築」の時期、2018年から2020年の後半3カ年を「成長加速の新戦略」の時期と定めました。 つまり、前半3カ年で作った強固な事業基盤を基に、後半の3カ年で大きく成長する計画です。経営目標は、2020年に売上高1兆円、営業利益1,000億円としました。

ブランド価値向上に向けて 「VISION 2020」の中心となるのは、ブランド価値の向上です。
ブランド価値は、マーケティングとイノベーションを掛け合わせることで生まれた価値を、人や組織の実行力によって確かなものにしていくことで、作られていきます。当社は、企業ブランド、商品ブランドの価値を高めていく活動に集中していきます。

前半3カ年(2015-2017年)の主な取り組み

2015年から2017年の前半3カ年は、事業基盤の再構築を目指して、さまざまな改革を実行してきまし た。
活動を大きく分けると、1つ目はこれまで抱えてきた「負の遺産の解決」、2つ目は成長軌道に乗るための「正のサイクルの構築」です。
とくに、一度止まった成長モメンタムを引き上げるための、「正のサイクルの構築」には、下記3つの戦略に注力しました。

1. プレステージファースト

当社の強みであるプレステージ領域を第一優先に、グローバルに強化するものです。投資するブランドの選択と集中を行うことで、市場を上回る成長を実現します。 これに伴い、マーケティング投資の金額も、2015年から2017年の3年間で累計1,100億円増額し、ブランドの成長を後押ししました。この成長投資を捻出するために、全社を挙げてコスト構造改革に取り組み、3年間累計で600億円超を削減しました。

マーケティング投資の強化

2. グローバル経営体制の構築

2016年から、6つの地域本社と、5つのブランドカテゴリーを掛け合わせたマトリクス型のグローバル経営体制をスタートしました。各地域本社社長に幅広く責任と権限を委譲し、「Think Global, Act local」の考え方のもと、それぞれの地域に適したマーケティング活動や市場変化への対応力を高め、 地域のお客さまのニーズに合った機動的な意思決定を実行しています。

地域×ブランド マトリクス型組織体制

さらに、グローバルの価値づくりを主導する組織、「センター・オブ・エクセレンス」を導入しまし た。スキンケアは日本、メイクアップとデジタルは米州、フレグランスは欧州といったように、各カテゴリーにおける世界の最先端の地域で、情報収集や調査を行い、グローバルな戦略立案・商品開発をリードしています。

センター・オブ・エクセレンス

3. ブランド・事業ポートフォリオの強化

地域本社ごとに、ブランド・事業ポートフォリオを適時検討し、重点領域の選択と集中を行っています。 2016年には、米州でメイクアップ事業のポートフォリオ強化を目指し、「LAURA MERCIER」を取得。 欧州では同年、フレグランス事業のポートフォリオ強化を意図し、「Dolce&Gabbana」とライセンス 契約を締結しました。 一方、不採算事業からの撤退や、ブランドの譲渡なども同時に実行しています。とくにブランド・事業については、対象ブランド・事業自体の成長を判断軸として、当社よりも育成できる企業へ譲渡してい ます。

前半3カ年(2015-2017年)の成果

「VISION 2020」の前半3カ年は、前述のように、さまざまな改革を実行してきました。 その成果として、2017年の売上高は1兆51億円、営業利益は804億円と過去最高となりました。 「VISION 2020」の当初計画である売上高1兆円の目標を3年前倒しで達成し、確実に成長を実現しています。

3年間の改革は成果へ
「VISION 2020」は順調に進捗

とくに、重点的に投資をしたプレステージブランドの成長が著しく、プレステージ事業とフレグランス事業を合わせて、この3年で売上規模は1.5倍まで拡大しました。また、売上に占める割合も、50%を超えるまでに成長しました。

売上高構成比の変化

地域本社は、V字回復に転じた日本、市場が拡大する中国、新組織により事業を強化したトラベルリテールが特に成長をけん引しました。日本、中国、トラベルリテールを一つの市場として捉えた、クロスボーダーマーケティングが機能し、成長に貢献しています。

後半3カ年 引き続き取り組む課題

売上が好調に推移する一方で、当初の想定を超える需要の拡大もあり、中心商品に一部品切れが発生するなど、商品供給がひっ迫しています。今後も成長を続けるためには、商品供給体制の強化が喫緊の課題です。とくにメイド・イン・ジャパンの商品は、中国やアジアでの需要が急速に伸びていることから、日本の生産体制の強化を、短期の取り組み、将来を見据えた中期・長期の取り組みに分けて、それぞれ進めています
(商品供給体制の強化策については、
「新3カ年計画」ページをご覧ください)

また、海外事業の収益力は向上しているものの、米州と欧州はいまだ課題です。米州事業では、「bareMinerals」ブランドの成長が実現できていなかったことから、収益計画の修正とそれに基づく再評価を行い、2017年に減損損失を計上しました。今後は着実な成長を実現すべく、ブランド再生に取り組みます。欧州事業は、「Dolce&Gabbana」ブランドを筆頭に、フレグランスブランドの成長と収益性を高めるべく取り組んでいきます。

VISION 2020 後半3カ年(2018-2020年) 新3カ年計画(2018年3月5日発表)

新領域の開発 2018年から2020年の後半3カ年は、5つの重点戦略「Building for the Future」に取り組みます。世界各地のお客さまニーズに対応したブランド戦略の徹底やデジタライゼーションの強化に加えて、新領域の開発による新たな価値創造などを進めていきます。

2018-2020の経営目標 前半3カ年の成長モメンタムを継続すべく、マーケティング投資強化をさらに進めます。とくに、プレステージやメイド・イン・ジャパンの重点ブランド、日本や中国などの成長著しい事業、そしてデジタルへの投資を強化します。
これにより、「新3カ年計画」発表時の基本計画は、2020年に売上高1兆2,000億円超、営業利益1,200億円超。基本計画に加え、課題である供給力を拡大できた際に目指すストレッチ目標として、売上高1兆2,800億円超、営業利益1,300億円超を合わせて発表しました。
2019年2月には、2018年の実績を踏まえて計画を上方修正し、2020年の目標は、売上高1兆2,900億円、営業利益1,500億円、営業利益率11.6%を発表しました。

1. ブランド・事業のさらなる「選択と集中」

プレステージファースト戦略のもと、当社の強みであり成長性と収益性の拡大が期待できるプレス テージ領域を第一優先に強化します。「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「NARS」、 「bareMinerals」、「イプサ」、「LAURA MERCIER」、「Dolce&Gabbana」に投資を集中し、成 長を実現していきます。加えて、中国をはじめとするアジア地域では、コスメティクス・パーソナルケアブランドのうち、メイド・イン・ジャパンブランドの「エリクシール」、「アネッサ」、「専科」 を集中育成します。なお、各地域のお客さまのニーズを捉えたローカライズマーケティングの強化や、 流通との協働を通じ、一層ブランド力を高めていきます。

2. デジタライゼーションの加速・新規事業開発 全世界で、デジタルマーケティングやEコマースを強化します。Eコマースにおいては、主要のEコマースプラットフォームとの連携を強化するとともに、店頭の顧客データとの統合など、CRM(カスタマー リレーションシップ マネジメント)を進めます。全世界のEコマースの売上高構成比率を、2017年の8%から、2020年には15%(中国は40%)まで高めます。また、ビジネスオペレーションの基盤整備として、各地域本社間のビジネスプロセスとの連動、ITプラットフォームの統合やデータの一元管理を進めます。新事業開発では、お客さま一人ひとりのニーズに合わせた価値提供を実現するため、パーソナライゼーションへの対応を強化していきます。米国では一人ひとりの肌色に合ったファンデーションをつくる「bareMinerals Made-2-fit」をスタートしており、日本ではその時の天気や気分、肌状態などを分析してスキンケアを配合する「Optune(オプチューン)」のテスト展開を始めています。今後も、IoTなどのデジタル技術と既存ビジネスを掛け合わせることによって、新しい商品・サービスを生み出します。

3. イノベーションによる新価値創造

これまで培ってきた当社の知見と、M&Aなどによるブランドや技術、専門性の高い人材が融合し、相乗効果を発揮していきます。これにより、化粧品のみならず、人工皮ふ、毛髪・皮ふ再生、先端美容など新領域を創出し、革新的なビジネスモデルを構築します。また、研究開発領域への投資を強化し、2020年には売上高に占める研究開発費比率は3%(将来的には4%)、研究所員数は1,500名まで増やします。
2019年4月には、横浜に世界中の研究開発拠点の中枢となる「資生堂グローバルイノベーションセンター」(呼称「S/PARK(エスパーク)」)が本格稼働しました。国内外の最先端研究機関や異業種などから集約した多様な知見、情報、技術を融合させて、今後も世界中のお客さまに向けて新しい価値を提供し続けます。
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4. 世界で勝つ、人材・組織の強化「PEOPLE FIRST」

「VISION 2020」を達成し、世界中で価値を創出するためには、社員の力を高めていくことが重要となります。当社は「PEOPLE FIRST」という考えのもと、人材育成投資の強化に取り組んでいます。今後の資生堂をリードする次世代リーダーの育成を目的とした研修プログラムや、ダイバーシティの推進、英語公用語対応などに取り組んでいます。
「PEOPLE FIRST」の詳細はこちら

5. グローバル経営体制のさらなる進化

2016年にスタートしたグローバル経営体制では、各地域本社のCEOに責任と権限を委譲したことで、市場環境に迅速かつ適確に対応した経営を進めています。
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2018年からは、それぞれの強みのある地域が価値創造の拠点となる「センター・オブ・エクセレンス」をさらに強化していきます。2019年からは、当社のMatchCoやGiaranの技術などをより進化させる「Technology Acceleration Hub」をアメリカ・ボストンに、デジタルなど新技術の開発が著しい中国・上海に「China Business Innovation Center」を設置しました。「センター・オブ・エクセレンス」で得た知見は全世界で共有し、マーケティングや商品などの価値づくりに活かしていきます。加えて、「センター・オブ・エクセレンス」や研究所など、それぞれの価値創造拠点をつなぎ合わせていくことで、領域を超えた全く新しい価値づくりまで目指していく「Connected Multi-Value Creation」を実現していきます。

Connected Multi-Value Creationセンター・オブ・エクセレンス(COE)のさらなる進化

取り組むべき課題

2020年の経営目標を達成するためには、5つの重点戦略への取り組みに加えて、解決すべき課題があります。1つ目は、商品供給体制の強化、2つ目は、米州および欧州事業の収益性の改善です。

生産・供給体制の強化

「VISION 2020」に取り組み始めてから日本事業が急回復したこと、加えてインバウンド需要の拡大やアジアや中国におけるメイド・イン・ジャパン商品の需要増が続いています。そのため、短期・中期・長期の視点で日本国内の生産体制強化を実行しています。短期的には、既存3工場への設備投資、人員体制の強化、生産品種の大幅な絞り込み(SKUの削減)、外部委託先の拡大や需要と連動した原材料調達の拡充などに取り組んでいます。

さらに中長期の成長を見据え、自社工場の生産能力増強を目指し、新たに3工場を建設します。2019年末には那須工場、2020年には大阪茨木工場(仮称)、そして2021年には福岡久留米工場(仮称)の稼働を見込みます。新たな工場は、次世代型工場として、IoT、最先端技術を導入していきます。これら3 つの工場が完成すると、日本国内は6工場体制へと強化されます。日本の高品質のものづくりの強み、 匠の技術を伝承・発展させることで、今後の成長を支えていきます。

米州および欧州事業の収益性の改善

米州、欧州の収益力向上に向け、米州では「bareMinerals」の再生に向けた新マーケティングをスタートし、Eコマースの強化をする一方、固定費の削減を目的とした不採算店舗の閉鎖にも取り組んでいます。欧州では、2017年より当社生産をスタートした「Dolce&Gabbana」の売上拡大と、「narciso rodriguez」などのデザイナーズフレグランスの成長拡大を目指すことで、収益性を高めていきます。
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VISION 2020 2019年計画

2018年の実績と2019年の見通し

2018年は、「新3カ年計画」の通り、プレステージやメイド・イン・ジャパンの重点ブランドへ投資を集中し、育成しました。その結果、売上高1兆948億円、外貨前年比+8.8%、前年の事業譲渡影響等を除く実質前年比+14%と、成長を加速しました。営業利益は、ブランド・事業ポートフォリオの見直しの影響や、中心商品の売上増によるミックスの改善などにより、1,084億円、前年比+34.7%、営業利益率9.9%となり、大きく収益性を改善しました。

2019年 通期見通し

2019年の通期見通しは、売上高1兆1,720億円、営業利益1,200億円、営業利益率10.2%を見込みます。 引き続き、成長をけん引するプレステージブランド、メイド・イン・ジャパンのコスメティクス・パー ソナルケアブランドへ投資を集中し、育成していきます。地域では、日本、中国を中心に投資をさらに強化していきます。 同時に、2020年の目標を、売上高1兆2,900億円、営業利益1,500億円へと引き上げています。

持続的成長を確かなものに

欧米の収益構造

米州および欧州の収益性改善に向けて、これまで組織改革をはじめ、オフィスやシステムの統合、不採算事業からの撤退など、さまざまな取り組みを進めてきました。米州では現在、「bareMinerals」 の不採算店舗の閉鎖にも取り組んでいます。これらの取り組みの効果は確実に出てきています。
今後は、それぞれのエリアがもつブランドを育成強化することで、収益力を高めていきます。
下記の図は、現在の米州および欧州の収益構造を表したものです。
米州、欧州ともに、通常の販売事業では収益が出ています(①)。一方で、米州では「NARS」、 「bareMinerals」、「LAURA MERCIER」、欧州では「Dolce&Gabbana」やその他のデザイナーズ フレグランスブランドなど、ブランドホルダーとしての費用負担が大きく(②)、販売事業と合わせるとまだ収益が出ていない状況です。2019年は、この販売事業とブランドホルダーを合わせて、それぞれの地域で黒字化することを目指します。
さらに、米州と欧州ではグローバルの価値づくりに貢献する組織「センター・オブ・エクセレンス」 の運営費用などを負担しています。とくに米州には3つの「センター・オブ・エクセレンス」があり、 開示上の利益を大きく下げる要因になっています。中長期では、それぞれの地域の売上を拡大すること で、収益改善を目指します。

米州・欧州 収益改善へ
2020年、さらにその先へ

「VISION 2020」は、
2020年までを一つの目標として取り組んでいる中長期戦略です。
しかし、事業会社にとっては、
その先も持続した成長を実現していかなければなりません。

今後、グローバルビューティーカンパニーとして成長を続けることで、
長期的に売上高2兆円、営業利益3,000億円を目指していきます。

加えて、売上高などの経済価値だけでなく、より多くの社会的価値を提供できる企業へと進化していきます。
経営ポリシーを「世界で最も信頼される会社へ」とし、「最もイノベーティブ」で、「若者があこがれる」、「多様な人材に選ばれる」、「社会・株主から信頼される」会社を目指します。資生堂は2019年に新しい企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」を定めました。私たちは、「美」を通じて、すべての方々に笑顔や喜び、幸せ、新たなエネルギーなどを届けてまいります。また、女性活躍や高齢化、肌に深いお悩みを持つ方へのアピアランスケアなどに、事業を通して貢献していきます。加えて、気候変動や紫外線対策、海洋汚染への対策など、地球環境への対応も強化していきます。

OUR MISSION