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2018年11月26日

発行元:(株)資生堂

研究・サプライネットワーク

資生堂、あらゆるお客さまが“肌の若返り”に近づく、新規有用成分を開発

-基底膜の分解を抑制し、明らかな肌質改善効果を確認-

資生堂は、肌の表皮と真皮の間に存在する基底膜の構成成分であるラミニン511が、肌の再生力の要である表皮幹細胞の維持に重要であることを世界で初めて発見しました(図1)。また、ラミニン511は紫外線により、分解されることがわかったため、ラミニン511の分解を強力に抑制する新規有用成分ステムラン173を12年の歳月をかけて開発しました。ステムラン173によりラミニン511の分解を抑えると、0歳から60歳代の表皮幹細胞が良い状態で維持され、明らかな肌質改善効果があることを確認しました。さらに、加齢に伴い産生量が減少するラミニン511の産生を促進する成分として、海藻抽出液を見出しました。
本研究はあらゆるお客さまが“肌の若返り”に近づく技術として、スキンケア製品へ応用していきます。

図1 基底膜を構成するラミニン511について

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ラミニン511と表皮幹細胞の関係

資生堂は約30年にわたり基底膜に着目した研究を行っており、紫外線により基底膜がダメージを受けることでシワ、しみの形成を引き起こすことを突き止めました。さらに研究を進めると、基底膜のダメージにより表皮幹細胞※1が減少することを発見しました※2。そこで今回、表皮幹細胞の減少に関与している基底膜の構成成分を探索した結果、ラミニン511が表皮幹細胞の減少を抑え、維持していることを世界で初めて発見しました(図2)。
※1表皮幹細胞:本研究では、MCSP(Melanoma-associated Chondroitin Sulfate Proteoglycan)を細胞表面に発現している細胞を表皮幹細胞としている
※2 過去の研究成果については、参考資料に記載あり

図2 ラミニン511が存在することで、表皮幹細胞(緑色に染色)を維持する(表皮細胞の培養モデル)

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ラミニン511の分解抑制と産生促進をする成分の開発

表皮幹細胞を維持するために重要なラミニン511の研究を進めていくと、肌の老化要因として以下の2つについてわかりました。
①ラミニン511は紫外線を浴びると分解される
②ラミニン511は加齢に伴い産生量が減少する
そこでまずラミニン511の分解を抑制する成分の探索を行いました。その結果、肌への効果が期待される化合物約20,000品の中からラミニン511の分解を強力に抑制し、表皮幹細胞を維持する新規有用成分ステムラン173を12年の歳月をかけて開発しました(図3、4)。さらに、ラミニン511の産生を促進する成分を探索し、天然由来抽出物約180品の中から、海藻抽出液※3を見出しました(図5)。
※3海藻抽出液:3種の海藻(緑海藻、紅海藻、褐海藻)の抽出液を主成分としたもの

図4 ステムラン173はラミニン511の分解を抑制し、表皮幹細胞を維持する(皮膚組織の培養モデル)

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図5 海藻抽出液はラミニン511の産生を促進する(皮膚組織の培養モデル)

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ステムラン173による肌質の改善効果

ステムラン173はラミニン511の分解を抑制し、表皮幹細胞の減少を食い止めることで、肌の再生力を高め、肌質の改善効果を確認しました(図6)。表皮幹細胞は、生まれた時がピークで年齢とともに減少することがわかっています。その減少を食い止めて維持するステムラン173は、あらゆるお客さまが“肌の若返り”に近づく有用成分であり、今後スキンケア製品へ応用していきます。

図6-1 ステムラン173の使用による肌質改善効果(角層水分量、バリア機能)

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図6-2 ステムラン173の使用による肌質改善効果(きめの細かさ)

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【参考資料】

関連する過去の技術リリース

2013年:資生堂、国際化粧品技術者会(IFSCC)で世界最多、通算18回目の「最優秀賞」を受賞
「老人性色素斑皮膚における基底膜ヘパラン硫酸の役割」
https://www.shiseidogroup.jp/newsimg/archive/00000000001592/1592_b2y58_jp.pdf


2015年:資生堂、世界初・表皮幹細胞が肌のうるおいを左右することを発見
https://www.shiseidogroup.jp/newsimg/archive/00000000001832/1832_p2i83_jp.pdf

※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。