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2024年04月24日

発行元:(株)資生堂

研究・サプライネットワーク

資生堂、日焼け止め等を用いて紫外線から肌を守ることで疲労感を軽減し、その後の回復も助けることを発見

~日焼けの程度と疲労感は相関関係を示し、紫外線対策の重要性を再確認~

資生堂は、屋外運動時の紫外線暴露が心身に及ぼす影響を科学的に検証し、本実験において、日焼け止めなどを用いて紫外線から肌を守ることで、運動中や運動後24時間後までの間、疲労感を軽減することを確認しました。日焼けによる肌の赤みの度合いと疲労感が相関することを見出し、日焼け止めを用いることで、運動後の筋肉痛の感じ方が軽くなる可能性があることも明らかにしました。これはつまり、レジャーやスポーツ、日常生活に日焼け止めなどの紫外線対策を取り入れることで、太陽のもとでより一層アクティブに活動できる可能性を示しています。本研究は、獨協医科大学基本医学基盤教育部門 講師/早稲田大学スポーツ科学研究センター 招聘研究員 枝伸彦先生との共同研究によるものです。
本研究成果を応用し、太陽の下でお客さまがアクティブで自由に、日々の生活を楽しむができる未来を実現する製品やサービスの開発を進めていきます。
本研究の成果の一部は、2020年9月24日~26日にWEB開催した第75回日本体力医学会大会にて発表しました。

図1 日焼け止めなどにより紫外線から肌を守ることで運動時やその後の疲労感を軽減することができる(イメージ)

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図2 日焼け止めを用いた群では運動後に感じる疲労感が軽減される

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図3 日焼け止めを用いた群では筋肉痛の感じ方が軽くなる可能性がある

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研究の背景

炎天下の外出や屋外運動により、疲れを感じた経験がある方は多いのではないでしょうか。実際に、紫外線や過度な運動による心身への影響は徐々に明らかにされてきていますが、紫外線を防御することで、心身への影響にどのような変化が起こるのかについては、これまで十分に検証されていませんでした。
そこで今回、屋外運動時の紫外線暴露および紫外線防御が心身に及ぼす影響を科学的に検証し、太陽光の下でパフォーマンス高く、より一層アクティブに活動できる方法を探すことを目指して、研究を進めました。

日焼け止めを塗布することで疲労感が軽減する

健康な成人男女16名を、紫外線防御有り・無しの2つの群に分けて、沖縄で試験を行いました。紫外線防御有りの群は、資生堂が開発した日焼け止め製剤(SPF50+、PA++++、スーパーウォータープルーフ)を肌に塗布し、紫外線防御無しの群は、日焼け止めから紫外線吸収剤・散乱剤を抜去した、日焼け止め効果のない基剤を塗布しました。屋外にてシャトルラン形式の運動(60分間で4セット実施)を行い、血中疲労関連因子の一つである血中乳酸値※1の濃度や主観的な運動強度、筋肉痛の感じ方などを調べました。

その結果、本実験において、日焼けの度合いを示す肌の赤みが強いほど、運動後に大きな疲労感を感じること(図4)や、紫外線防御無しの群は、紫外線防御有り(日焼け止め塗布)の群と比べて、疲労を感じやすい傾向にあることが分かりました(図2)。さらに血中乳酸値は、紫外線防御無しの群において、運動直後に有意に上昇しました(図5)。また、運動後の肌の赤みの変化量が、運動時の血中乳酸値の変化量や酸化ストレスの変化量と比例することも確認しており、以上の結果から、日焼け止めを用いて紫外線から肌を守ることで、運動時の疲労感を軽減できることが推察されました。

※1 乳酸は、糖質が解糖系(嫌気的代謝)で代謝・分解されてできる生成物で、筋肉でエネルギーを作るとき、糖(グリコーゲン)が分解されて生成されます。運動時には、生成された乳酸がエネルギー源として再利用されますが、激しい運動をした後に蓄積することが知られており、血中乳酸値を調べることで、運動による疲労の程度を推察することができます。

図4 日焼けの度合い(肌の赤み)と疲労感は相関する

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図5 日焼け止めを使用した群では運動直後の血中乳酸値の上昇を抑制する

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日焼け止めの塗布により運動中のパフォーマンスや運動後のリカバリーに良い傾向がみられる

主観的な運動強度(きつさ)は、運動後半(Set3からSet4にかけて)において、紫外線防御有り(日焼け止め使用)の群の方が紫外線防御無しの群に比べて低値を示し、運動後半になってもきつさを感じにくい傾向にあることが分かりました(図6)。主観的な筋肉痛は、紫外線防御無しの群でのみ、24時間後に有意な増加を示すことから、紫外線から防御することで、運動後の全身筋肉痛を抑えることができることが示唆されました(図3)。また、運動の6時間後、24時間後の疲労感も、紫外線防御有り(日焼け止め使用)の群の方が低くなる傾向がみられました(図2)。
これらの結果から、紫外線から防御することで、運動中のパフォーマンスや運動後のリカバリーに、良い影響があることが示唆されました。

図6 日焼け止めを使用した群では運動中に感じるきつさが軽減される

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今後の展望

本研究で、紫外線から肌を守ることで心身のダメージを抑えられることが科学的に示され、日焼け止めなどの紫外線対策は、肌の美しさを維持するだけではなく、太陽のもとで活き活きと活動することをサポートすることが示唆されました。
今後も、当社が強みとする基礎研究領域の知見や技術を土台として、日焼け止めをはじめとした紫外線防御の技術開発を更に加速し、高いテクノロジーで紫外線を防ぐことによって、太陽の恩恵をより享受できる商品の開発を進めていきます。また、地球環境に配慮した商品づくりに加え、子供たちへ紫外線や日焼け止めの理解を広める教育活動を行うなど、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。資生堂は、太陽のもと、世界中の人々が健やかに、美しく輝く人生を応援し続けます。

※このリリースに記載されている内容は発表時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご留意ください。