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前からいわれていたことだけれど・・・

紫外線による肌ダメージを見たら、本当にすごかった!

IFSCC Congress 2012 第27回 ヨハネスブルグ大会 最優秀賞(口頭発表・基礎部門)

「新しいコラーゲン可視化技術を用いた光老化に伴うヒト真皮構造変化の非侵襲評価」

賞状

この研究によって何が分かったの?

特殊なレーザーを使って肌の奥にあるコラーゲンを画像化したら、
やっぱり紫外線を浴びたことによる肌ダメージが大きかった!

紫外線に多く当たりすぎると日やけはもちろん、シミやしわの原因になることは、今では広く知られています。しかし、肌表面にすぐに変化が現れる日やけや、肌内部でも上層部の方で起きるシミに比べて、しわやたるみといった肌悩みは肌の奥深くで、長い年月をかけてさまざまな要因から進んでいくもの。1日や2日紫外線をたくさん浴びたからといってすぐに起こるわけではありません。そのため、紫外線が肌に与える影響を認識しづらいといえるでしょう。
この研究は特殊なレーザーを使って顔の肌の奥にあるコラーゲンを画像にしたというものです。そこで、紫外線を多く浴びた肌と浴びていない肌のコラーゲンを比べて、その影響を調べたところ、やはりその影響は大きかったことが証明されたのです。

40代女性の紫外線を多く浴びた肌と浴びていない肌のコラーゲン

どんな技術なの?

肌を切らずに、肌の内部を見るのは実はとても難しい。
特殊なレーザーを使った、ここまで鮮明なコラーゲンの画像に世界も絶賛!

肌の中がどうなっているかを知るには、肌を切り取って顕微鏡で観察するのが一般的な研究手法です。しかし、生きている人の顔から皮ふを切り取ることは、もちろんできません。実際の研究では顔以外の皮ふを用いることが多いのですが、皮ふも一様ではなく、例えば顔と腕の皮ふでは厚みやメラニン量、コラーゲン量などが違います。そこで、皮ふを切らずに特殊なレーザーを使って見られるようにするというのが、今回の研究のテーマなのです。
特にコラーゲンは、肌の奥の真皮層にあります。これまでにも真皮上層のごく限られた狭い領域のコラーゲンを捉えた画像はありましたが、今回の受賞技術のようには鮮明ではありませんでした。

肌の奥の真皮層

今回の技術は今までにない特殊なレーザー装置の開発が必要なため、その道の第一人者である大阪大学・安井招聘教授(徳島大学教授)との共同研究することで実現させたものです。ヒトの皮ふを切ることなく鮮明なコラーゲンを見られるようになったことで、紫外線によってコラーゲンがどのくらいダメージを受けているのかを知ることができました。
この研究がさらに深まれば、日やけ止めアイテムの紫外線ダメージ防止効果を確認したり、まだ分かっていない「しわ発生のメカニズム」を探ったりと、肌を知る手段として大いに役立つと期待されています。

顔を測定器の上に乗せ、コンピューターでレンズを動かし、肌内部の画像を連写します。それらをつなぎ合わせることで、広範囲な画像になるという仕組み。