サステナブルな成長を目指してサステナビリティ戦略

社会価値の創造を通じ、サステナブルなより良い社会を実現します 取締役 常務 青木 淳 社会価値の創造を通じ、サステナブルなより良い社会を実現します 取締役 常務 青木 淳

サステナビリティの鍵は
社会価値

資生堂グループは、2015年に掲げた中長期戦略「VISION 2020」の売上目標を2017年に3年前倒しで達成し、さらに営業利益目標を2018年に2年前倒しで達成いたしました。お客さま価値をあらゆる活動の出発点と捉えて、マーケティングとイノベーション、これらを支える人材への投資を徹底したことで、業績は期待を上回って回復しました。
当社では、これらの経験を通じてシェアや売上高、営業利益といった経済価値が大きく改善したのは、提供する商品・サービスがお客さまの肌悩みを解決するなど、確実に社会価値を生み出してきたからだと信じています。

今資生堂は、「世界で最も信頼されるビューティーカンパニーへ」を経営ポリシーとしています。創立147年を迎えた会社として、先人たちから受け継いだバトンをさらに100年先にも届けることを考えると、生み出す経済価値はこれまで以上に社会価値に裏打ちされていなければなりません。このことは、当社にとって極めて重要であるステークホルダーを考えれば明らかです。
生活者・消費者に加えて取引先などのビジネスパートナー、そして社員や、これからバトンタッチしていく若い世代が求める会社とは、社会に有益な価値を生み出す組織であり、世の中を変える力のある企業です。
企業の成長に大きな期待を寄せてくださる株主・投資家の皆さまが求めているのも、長期的視点でステークホルダーを大事にして、社会価値を創出する力のある企業です。
そして、私たちが依って立つところの社会・地球環境こそ、最も大事にすべきステークホルダーでもあります。

BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD 
より良い社会を創りたい

2019年、資生堂は「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」を新たな企業使命としました。資生堂グループ全体で、より良い社会の実現にコミットします。

資生堂は、その生い立ちから社会価値の創造を使命としていました。その社名は、中国の古典、リーダーシップの教科書とも称される「易経」の一節に由来しており、「大地の徳は、なんと素晴らしいものであろうか。すべてのものはここから生まれる。」という意味であり、宇宙の真理や神の摂理を形にする大地、地球環境、社会を愛で敬う心をうたっています。
創業者の福原有信は、文明開化の時代の1872年に23歳の若さで、西洋から流入する新たな価値(ビジネスモデル、商品・サービス)を日本の近代社会に取り入れて市民生活を豊かにしようと獅子奮迅の活躍をしました。
初代社長の福原信三は、1900年代美の探求のために世界を旅する中で、西欧の先進的な価値を日本人の眼差しで捉えるところから化粧品事業を始めて、今日の礎を築いたのです。好奇心旺盛で新しい物事に常にオープンに、あらゆるものから貪欲に学び、豊かな社会を創りたいという意志の賜物でした。

ビューティーカンパニーの
SDGsとESG経営

そして今資生堂は、新たな企業使命と密接にリンクする、ビューティーカンパニーならではの社会価値創造の枠組みを考えました。自社のビジネスの特徴や強みに根差したものこそが、企業の基本動作として着実に身につくものと思うからです。
全ステークホルダーへのヒアリング、ディスカッションをもとに、社会へのインパクト、当社ビジネスへのインパクトの2軸から課題を分類し、優先順位をつけ、最終的に18個のマテリアリティを選定しました。その上で、「ビューティー」を基軸に環境(Environment)、社会(Social)、文化(Culture)の3つのジャンルで社会価値を再定義しました。

資生堂グループのマテリアリティマップ (2019年改訂)

資生堂グループのマテリアリティマップ (2019年改訂)

資生堂が取り組む社会課題とSDGsの目標番号

Protect Beauty Empower Beauty Inspire Beauty Protect Beauty Empower Beauty Inspire Beauty

折しも世界中で、17のSDGs (Sustainable Development Goals)の実現が謳われ、環境・社会・企業統治の頭文字からESG経営が叫ばれ、社会価値への取り組みが強く奨励されています。私たちはビューティーカンパニーならではのアプローチで、ESG+C(Culture)によってより良い社会の実現を目指します。

Protect Beauty Empower Beauty Inspire Beauty Protect Beauty Empower Beauty Inspire Beauty

8つの重点活動領域

Protect Beauty Protect Beauty

地球環境の負荷軽減

資生堂は、原料調達を含めたものづくりの観点から、環境負荷軽減の活動を推進することで、グローバルにおける企業市民としての責務を全うし、社会に貢献します。気候変動の原因であるCO₂排出の削減と、エシカルな資源調達(パーム油、認証紙)をグローバルで強化し、水資源利用や廃棄物の削減と合わせて、環境負荷軽減に取り組んでいます。

地球環境の負荷軽減

紫外線からの皮膚の防御と光老化等への対応

気候変動など、地球環境の影響を受け、人口が密集し経済活動の盛んな中緯度地域では、今後100年間で過剰な紫外線曝露が増えることが予想されています。長年培ってきた皮膚科学研究の成果を基に、紫外線をはじめとする環境と肌との関係性について新たな視点で研究を進め、健やかな肌を守る革新的な商品 (UVケア、美白・抗老化ケア) やサービスを開発し、提供しています。

  • 太陽光線によって引き起こされる皮膚の老化現象
紫外線に対する皮膚の防御と老化等への対応
紫外線に対する皮膚の防御と老化等への対応

環境対応パッケージ

1926年に初めて詰め替え商品を発売して以来、万物資生の理念に基づき、資生堂はさまざまな環境配慮パッケージの開発に取り組んできました(バイオマス容器、リサイクルペット、低温度燃焼素材など)。2018年、日本企業として初めてSPICEに参加し、海洋ゴミ問題の解決に向けて、また限りある資源の有効活用に向けて、リデュース、リユース、リサイクル、生分解可能な化粧品パッケージの展開を積極的に進めています。

  • Sustainable Packaging Initiative for CosmEtics: グローバルな化粧品会社が協業して持続可能なパッケージの未来を描く取り組み
環境対応パッケージ

Empower Beauty Empower Beauty

ジェンダー間の平等・公平の実現

資生堂は、社員の8割以上が女性であり、育児休業からの復職率は9割以上を維持しています。2017年には、日本での女性管理職比率30%を達成し、2020年末には40%を目標としています。取締役会の女性役員比率は2019年3月に45%となり、取締役会での議論は多面的な視点からの活気に溢れたものになっています。
一方、日本は世界第3位の経済大国であるにもかかわらず、グローバル・ジェンダー・ギャップ指数は世界110位という現実があります。女性役員比率30%達成を目指す「30% Club Japan」に参加を表明。自社のみならず日本と世界のジェンダー・ギャップの解消が私たちの使命と捉えて取り組んでいきます。他地域での女性の教育支援にも力を入れ、女性がその力を最大限に発揮することによる、より良い社会の実現を目指します。

ジェンダー間の平等・公平の実現

「化粧のちから」によるエンパワーメント・サポート

1956年、戦禍による火傷跡を負った人々の心の苦しみを和らげたいと「資生堂スポッツ カバー」を発売したのが、肌の深い悩みに応える「ライフクオリティー メーキャップ」の始まりです。現在は、あざや傷に限らず、がん治療の副作用による外見上の変化や悩みを抱えている人々に向けて、化粧とおもてなしの力がその自信や勇気につながって、インクルーシブな社会を実現する一助となることを願って取り組んでいます。処方や応対ソフトなどの技術革新に努めるとともに、より多くの人々の力となれるよう、海外でも積極的に展開しています。

「化粧のちから」によるエンパワーメント・サポート

ビジネスと人権

資生堂は、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく「資生堂グループ人権方針」を定め、人権尊重の取り組みをグループ全体で推進しています。また、国際的な人権専門家や原料産地での労働者などさまざまなステークホルダーとの課題の共有と解決に努めると共に、インドにおける児童労働に関するイニシアチブに参加し、人権問題に真摯に取り組んでいます。2017年からはSedexへ参加し、サプライチェーンにおける社会・環境への取り組みを向上させています。

  • サプライヤーエシカル情報共有プラットフォーム
エシカルなサプライチェーン

Inspire Beauty Inspire Beauty

社会資産・価値創造の源泉としてのヘリテージ

世界中の社員がアクセスして新たな価値創造に活用できるアーカイブを構築するとともに、新たにグループに参画する世界中の社員へのヘリテージ教育を徹底し共通価値の強化に励みます。また、当社の経営哲学、経験知をより広く社会に共有する活動に取り組みます。

社会資産・価値創造の源泉としてのヘリテージ

Japanese Beautyに根差す美意識の発信

日本発の企業ならではの美意識を世界に発信していきます。資生堂ギャラリーや「花椿」誌(紙面版とデジタル版)からの情報発信、世界各地での企業展の開催、さらに他企業やインフルエンサーとのコラボレーションにより、日本独特の美の概念に内在する包括的な価値を世界中に問いかけることで、より良い世界の実現に取り組みます。2019年5月には、日本の美意識、および資生堂が有する「Japanese Beauty」に関する知見やストーリーを世界に向け発信し、興味・関心を喚起することを目的とした「ジャパニーズビューティーインスティチュート」を設立しました。

  • 『花椿』(現在は季刊誌とウェブサイト)
    1937年に創刊し、今を生きる女性たちに向けて、美容やファッション、カルチャー、資生堂独自の知見など、より豊かに美しく生きるためのヒントとなるさまざまな情報をお届けする、資生堂のオウンドメディア。
Japanese Beautyに根差す美意識の発信

全社活動のコンダクターは社会価値創造本部

これらの重点活動で分かるように、社会価値の創造は、事業の収益が上がった時にその一部を還元して社会貢献を行うというものではありません。企業のあらゆる機能や部門が常に気にかけて活動を展開するものです。ブランド、地域の販売事業、コーポレート部門など、全社が部門横断的に実行するのです。

2019年、全社活動のコンダクターとなるように社会価値創造本部を創設しました。その役割は、①特に注力すべき活動分野を定め、②全社が一丸となって達成すべき目標やKPIを定め、③社内外に実現をコミットし、④進捗をモニターしながら必要に応じてサポートし、⑤社員を中心にステークホルダーを啓発することです。
当本部が社会価値の絶えざる創造に対して明確に権限と責任を持つことによって、全社全部門の活動を横断的にリードし、全社員に気づきを与えることができるのです。「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」を実現するために、社会価値創造本部は資生堂グループの全社員とともに日々邁進します。

取締役 常務青木 淳 代表取締役 常務 青木 淳