化粧療法研究室

資生堂化粧療法とは

資生堂の化粧療法とは、スキンケアやメイクなど化粧行為を通じて心身機能やQOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)の維持向上など健康寿命の延伸をめざす療法です。自立支援のもと、残存機能を生かした手法を用い、「自分でする化粧」をサポートします。また、地域の元気な高齢者に対しては、社会性/心のフレイル予防など、介護予防としても活用ができます。

資生堂化粧療法の効果

QOL(生活の質)の維持・向上⇔ADL(日常生活動作)の維持・向上⇔[心:化粧をすると気持ちが前向きになる。脳:化粧をすると脳が活性化する。身体:化粧をすると身体能力がアップする。口腔:化粧をすると唾液の分泌がアップする。]

化粧をすると気持ちが引き締まったり楽しい気分になったり、人に会うときに自信が持てたりします。このように化粧をすると気持ちの変化が起こりますが、実は化粧は脳を刺激して気持ちを変えたり、また、身体にとっても上肢の良い運動になるといわれています。

資生堂では、化粧のちからで高齢者の方にいつまでも元気でいていただきたいと考え、資生堂「化粧療法」を開発しました。
資生堂「化粧療法」の効果を「心」「脳」「身体」「口腔」の4つの面からご案内いたします。

心への影響

経済産業省 平成26年度健康寿命延伸産業
創出推進事業 成果(一部抜粋)
共同研究先:地方独立行政法人
東京都健康長寿医療センター

健康度自己評価*、抑うつ傾向の改善効果

心身機能の異なる様々な高齢者を対象に検証した結果、健康度自己評価、抑うつ性尺度の改善が認められた。(疑似的無作為化比較試験より)

*)健康度自己評価
高齢者自身の健康について主観的な評価を問う質問。簡単な指標でありながら、様々な健康変化の予測指標になり、近年では健康度自己評価を用いて健康寿命の算出が行われています。

化粧ケアによる地域在住高齢者の
外出頻度の変化 (調査時期:2015年10~12月)

    事前 事後 外出頻度
外出頻度
(1日1回以上 %)
介入群(N=90) 93.3 83.3 維持
対照群(N=180) 89.4 40.6 大幅に減少

冬場にかけて、介入群では外出頻度が維持

老年医学会雑誌53巻2号 2016.4 
第24回日本老年医学会優秀論文賞を受賞

脳への影響

  1. 使う化粧品を
    選ぶ
  2. 化粧品を手に
    取って使う
    • 五感を刺激
    • 顔・手の感覚刺激
    • 軽運動
  3. 仕上がりなど
    を鏡で見る
    • 快感情
    • アイデンティティーの確認
    • 記憶の想起
  4. 化粧をして
    おしゃべり
    • 感情表出への自信
    • 他者との
      コミュニケーション
  5. 継続による
    生活の変化
    • 幸福感・活動性
    • 免疫力向上
  • 口紅など色が入ると
    急に表情が豊かになる
  • 周りの人がきれいになると
    よい刺激になる
  • きれいになりたい
    気持ちが満たされる
  • 化粧を続けている方は
    しゃきっとしている印象
脳波のパターン

出典:老年精神医学雑誌 第23巻第8号 2012

正常な
脳波パターンに
近づく
(認知症の症状軽減)

日本大学酒谷薫教授監修による化粧療法テスト

2012年6月~8月
出典:Adv Exp Med Biol,876:289-295,2016

3ヵ月後の
認知機能低下を
抑制

身体への影響

化粧筋(化粧をするときに主に使う筋肉)

①三角筋、②上腕二頭筋、③総指伸筋、④浅指屈筋、⑤第一背側骨間筋
  • ①②
    化粧動作に関わる筋肉
  • ③④⑤
    容器を扱う動作に関わる筋肉

継続的な化粧行為による握力の変化

介護保険施設2施設
N=19(化粧群12 非化粧群7人)
要介護高齢者(平均年齢89.6歳 平均介護度3.1)
2012年
出典:BIO Clinica,31(4):370-374,2016

毎日化粧をしている群は
開始前と比較して
3ヵ月後、
握力が向上

化粧動作と食事動作の筋負担の比較

対象者:70代女性10名(平均年齢73.9歳)
千葉大学との共同研究(2012年)
出典:日本生理人類学会 vol.19 No.3 2014一部改編

化粧動作は、
食事動作の約2~3倍の
筋力を使用

口腔への影響

口腔外ケア(口を中心とした顔のケア)

  • 食事や会話の機会が減ってくると、口を動かすことが減ってくるため、口を触られることに過敏になり、口腔ケアを拒否することがあり、それらの症状を和らげることを脱感作という。手や腕など口から遠い部位から接触し、緊張をほぐし、徐々に口に近づき、最終的に口腔内のケアにつながる目的で行われる。
  • 機能的口腔ケアは口腔機能(笑う・話す・食べる・表情を作る・呼吸する)を維持・増進させることが目的

化粧療法による唾液の変化

2014年 長期療養型病院(同一対象者で実施)
平均年齢:87.8±6.4歳
平均介護度:3.6±1.3 N=16
出典:Dental Diamond,2:44-55,2017

約50分間の
化粧療法実施後、
唾液分泌量が
増加した

資生堂リサーチセンター研究結果
有料老人ホーム3ホーム N=22
要介護高齢者
(平均年齢85.2歳 平均介護度2.3)2014年
出典:J of Dental Hygiene vol.36(9)2016

※サブスタンスPとは
正常に食べ物を飲み込んだり、咳をしたりできるように、神経に働きかける物質です。この物質が低下すると嚥下や咳の反射が鈍くなってしまいます。

嚥下反射に関わる
神経伝達物質が
化粧療法実施後
に増加した

生活やADLへの影響

化粧療法インタビュー

化粧活動と社会とのつながりとの関係

外出に対する自己効力感*

*)自己に対する信頼感・有能感
「自分はここまでできる」「うまくできそう」という思い

N=89
半日型デイサービス利用者(要支援1~要介護2)
平均年齢:81.3歳
調査時期:2015~2016年 資生堂調べ

高齢期にメイクを
している人は
外出に対する
自己効力感
が高い

化粧療法による日常生活動作の自立度変化

2011~2013年 5施設(特養、老健、長期療養)
実施期間:3ヵ月
機能的自立度評価法(FIM)18項目7段階評価
自立度UP者37人/63人 改善した項目と延べ人数
出典:BIO Clinica 31(4)2016

化粧療法インタビュー

化粧療法研究室長のご紹介

池山 和幸(医学博士・介護福祉士)

プロフィール

専門は老年化粧学、化粧療法学。三重県生まれ。京都大学大学院医学研究科にて学位(医学)取得。大学院在学中に介護福祉士の資格を取得。2005年資生堂に入社後、化粧療法研究に従事。20代前半に眉毛のコンプレックスを克服するためにはじめた眉メイクは、現在も継続中。愛用のアイブロウアイテムはインテグレート。
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入社以来、高齢者の化粧実態調査を開始、2009年頃から施設や病院などでの化粧療法研究を本格的に開始。これまでに数千人の高齢者の化粧に関するデータを蓄積。2014年から研究知見をいかし、高齢者美容サービス事業にも携わる。介護、看護、歯科領域の専門職種をはじめ自治体、企業、学校などで、化粧療法をテーマにこれまで100本以上の講演を全国で行っている。「高齢期に最高の輝きを提供する」をモットーに、あらゆる女性がどのような状況・状態になっても気軽に化粧を楽しめる社会をつくることを目指す。

主な講演実績(2017年~)

自治体・医療・介護関連団体
2018.7.21
兵庫県薬剤師会・兵庫県病院薬剤師会共催講演会
2018.1.24
関東経済産業局第2回保険外サービスセミナー
2018.10.25
第2回東京都港区地域福祉フォーラム
2018.3.3
経済産業省ヘルスケア産業の最前線2017
2017.2.15
大牟田歯科医師会
教育機関
2018.8.27
資生堂学園
2018.6.25
慶応義塾大学
2017.12.1
資生堂学園
2017.10.11
中部学院大学短期大学部社会福祉学科
学術講演
2017.11.11
第1回国際ホリスティックフェース協会シンポジウム
2017.8.30
第1回ケアメイク研究会
2017.9.10
第23回日本歯科医療管理学会関東支部 特別講演
2017.6.10
第35回日本顎咬合学会公開フォーラム
企業・団体
2018.6.22
シンクタンク系顧客セミナー基調講演
2018.6.20
埼玉県内歯科医院
2018.5.26
調剤薬局グループ薬剤師向け講演
2018.5.18
製薬会社勉強会
2018.2.18
歯科グループ歯科衛生士向け講演
2017.1.26
老人保健施設介護スタッフ向け講演
2017.1.21
一般社団法人変わる介護
イベント・セミナー
2018.9.30
カイポケフェスタ2018
2018.7.26
RE-CARE JAPAN 2018 Kh-Labセミナー
2018.4.24
シニアビジネス研究セミナー
2018.1.24
第2回保険外サービス展ビジネスマッチングセミナー
2018.1.13
第25回メディカルエコタウンカンファレンス
2018.1.23
人生100年新産業創出研究会
2017.11.20
台湾「康健セミナー」
2017.3.9
介護保険外サービス最前線セミナー

執筆・寄稿

学術雑誌・専門書等
  • Modern Physician Vol.37 (9) 2017-9
  • Dental Diamond 2017.2
  • デンタルハイジーン 36 (9) 2016.9
  • 地域ケアリング 18 (8) 2016
  • BIO Clinica 31 (4) 2016
  • フレグランスジャーナル8月号  2014年
  • オレオサイエンス 13 (1) 2013年
  • 人間生活工学 13 (1) 2012年
新聞・雑誌等
  • 新聞クイント連載 2018年2月号~12月号
  • 図解入門業界研究 最新介護ビジネス業界の動向とカラクリがよ~くわかる本 2016年
  • 野村證券ヘルスケアノート No.15-13 2015年
  • くらしと循環 第6号 2015年
  • デイの経営と運営 Vol.19 2014年
  • 整容介護コーディネーター公式テキスト第2章 2014年
  • 野村證券ヘルスケアノート No.14-01 2014年
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