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女性ゴルファー急増中⁉ 人気の背景と今後のトレンドを探る!

新型コロナウイルスが流行した2020年以降、さまざまな娯楽・レジャーが制限される中で、ブーム到来!と注目されたスポーツの一つが「ゴルフ」。特に女性の人気が急上昇している背景と、今後のトレンドについて紐解きます!

日本のゴルフ場利用者は、年間1,000万人以上!

皆さんは何かスポーツをされていますか?
「月に1回以上行っているスポーツ」を調べてみると※1、「ゴルフ」は8.9%となっていて、「マラソン・ランニング」の25.9%や「ヨガ・ピラティスなどのエクササイズ」の12.7%には及ばないものの、他の身近なスポーツ、例えば「水泳」5.2%や「サッカー・フットサル」4.8%、「テニス」4.2%などと比較して実施率が高い状況です。

また、ゴルフは「密を避けられる」スポーツであることが評価され、コロナ禍をきっかけにゴルフ場の売上高が1,000億円を突破。利用者も2年連続で1,000万人を越え、2009年以降で最も高い水準となりました※2

コロナ禍をきっかけに増加しているゴルフ実施者の内訳は、「新規参入ゴルファー」が約38万人、「休眠復活ゴルファー」が約43万人(いずれも2022年調査時点の拡大推計値)。新規参入ゴルファーの中の40.5%が女性、その中でも20~30代の若い女性が増えているようです※3

なぜ若い女性ゴルファーが増えているのでしょうか?

※1 資生堂調べ(アンケート調査時期:2023年7月、調査(集計)対象:15~69歳男女3,600名、調査方法:インターネットアンケート調査)
※2 出典:経済産業省『特定サービス産業動態統計調査』
※3 出典:矢野経済研究所『コロナ参入・リタイアゴルファー実態調査2022』(アンケート調査時期:2022年1月、調査(集計)対象:コロナ新規参入ゴルファー男女200名、コロナ休眠復活ゴルファー男女300名(n=300)、調査方法:インターネットアンケート調査)

なぜ女性ゴルファーが増えている?

女性ゴルファーが増えている理由について、女性ゴルフファッション誌『Regina(レジーナ)』 ㈱ALBA Regina事業部 事業責任者 大森 由美 様(以下、大森さん)にお話を伺いました。

もともとゴルフがしたかった需要の取り込み

数あるスポーツの中で、なぜゴルフが支持されてきているのでしょうか?

大森さん)矢野経済研究所のデータ『コロナ禍において「ゴルフ新規層」や「休眠復活層」がゴルフを始めた理由(複数回答)』を見てみると、「もともとゴルフがしたかった」という理由が上位に入っています※3
ゴルフに興味がある方は以前から多かったと思うのですが、「道具を揃えなくてはいけない…」という“始めるハードル”と、「上達が難しい…」という“続けるハードル”の、大きく2つのハードルがありました。それが、コロナ禍で外出やレジャーが制限される中で、ゴルフに使えるお金と、上達のために使える時間ができたことが大きかったのだと思います。

女性ならではの理由

コロナ禍においてゴルフが支持されたことは理解できますが、その中でも特に女性が増えているのはなぜでしょうか?

大森さん)普段の街中ではできないファッションが楽しめたり、ゴルフ場ならではの解放感に浸れたりなど、ゴルフならではの「非日常感」が味わえて、ゴルフが優秀なコミュニケーションツールであることに気付いた女性が増えたのも理由の一つではないでしょうか。
また、女性は「人から教わる」ことが嫌いではないので、「習い事感覚」でレッスンに通います。結果として、近道をして「上達する楽しさ」を実感しているということもあると思います。
男性は「自分で調べて取り組む」ことが好きで、「自己流」を通す方が多いように感じます。実際、「Regina」は国内唯一の「女性向け」ゴルフ誌ですが、「男性向け」のゴルフ誌やウェブメディアは数多く存在し、レッスン情報が数多く掲載されています。
加えて、より手軽にラウンドができるようになったことも、女性ゴルファー増加の要因ではないでしょうか。

『スループレー』実施コースの増加

「より手軽にコースでラウンドができるようになった」とは、どのようなことでしょうか?

大森さん)日本のゴルフ場では、ラウンドする18ホールの半分の9ホール終了後に昼食をとるのが一般的ですが、コロナ禍では密を避けるために、18ホールを昼食なしでラウンドする「スループレー」が可能なゴルフ場が増えました。これにより、「1日がかり」だと思われていたゴルフが、「4~5時間程度で気軽に楽しめる」ようになりました。

『ドレスコード』の緩和

大森さん)また、紳士・淑女のスポーツとされているゴルフは、「襟付きのシャツでなければならない」など、ドレスコードに厳しいイメージがありますが、最近は気候の変化などに応じてドレスコードの基準を緩めているゴルフ場も増えてきています。そのような動きにより、ファッションも楽しみたい女性層の獲得に成功しているのではないでしょうか。

気兼ねなく選べる『1人予約』

大森さん)もう1点、ゴルフは一般的に3~4名でラウンドしますが、「予定が合う仲間がいない」場合や、「人数を集めたり、気を遣うのは面倒」という方に向けて、一人で気軽に予約して他の方と一緒にラウンドすることができる「1人予約」という仕組みもあります。フットサルの『個サル(個人フットサル)』のようなこのシステムは、リピーター増加の一助となっているようです。

ゴルフ市場の「今」と「これから」

アフターコロナに入り、再び様々な選択肢の中からレジャーを選べるようになってきた中、ゴルフ市場は今後どうなっていくのでしょうか?

大森さん)2022年までのゴルフ市場は、クラブやウェアを買い揃える人が多く、また、海外旅行などにお金を使うことも少なかったため、右肩上がりで伸長しました。2023年上期は、コロナ禍にゴルフを始めたり再開した方の購買がひと段落したこともあり、ギア(用具)やアパレル(衣服や帽子・靴など)の売上は一旦落ち着いているようです。
一方で、ゴルフ場は相変わらず混んでいて、土日や祝日などはなかなか予約が取れません。
「上達する楽しさ」を感じて、アイテムは持っているものを使いながら、継続してゴルフを続けている方が多いのかもしれません。
近年は、女性用のお風呂やロッカールームが充実しているコースが増えています。また、ゴルフのついでに、温泉や宿泊なども楽しむ『ゴルフ女子旅』も今後のトレンドとなりそうです。

ゴルフファッションのこれから

日常でも使えるスポーツウェアに人気がありますが、ゴルフファッションの状況はどうでしょうか?

大森さん)ゴルフウェアも日常使いできるものが増え、カジュアル化している傾向はあると言えます。一方で、ゴルフ場という「非日常の空間」で、普段とは異なるファッションが楽しめることも大きな魅力の一つです。ここ数年、ゴルフファッション市場には多くの新しいブランドが参入し、その数はレディスブランドだけでも100以上と言われています。ゴルフギアも女性専用クラブやシャフトなどの開発が進み、男性同様に多くの選択肢から選べる時代になっていますので、その日の気分やシチュエーション、レベルに合わせて、自由に楽しんでいただきたいと思います。

また、「資生堂 レディスオープン 2023」で優勝した櫻井 心那 選手など、若くして活躍する選手が増え、女子プロゴルファーのファッションも多様化しています。ファッションのみならず、プレーや人柄など、魅力ある“推し”選手を見つけることで、よりゴルフが楽しくなるのではないでしょうか。

これからどのように発展していくのか楽しみですね。

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